「上司は役割」と心得る
「管理職」という表現からすると、上司とは「人の上に立ち下の者を管理する者」と捉えられがちです。
皆さんも「上司たるもの、人の上に立つ以上は…」「上司は一段偉く、立派な立場にいなくては…」と、つい肩に力が入ってはいませんか。
しかし、「部下を信じて任せる」支援型マネジメントを行う上では、上司というのはあくまで「役割」だと心得ることが第一です。
皆さんの中には、PTAの会長やマンション管理組合の理事長などの経験がある方もいるでしょう。PTAやマンション管理組合では、メンバーの立場は対等で、役員も持ち回りです。会長や理事長だからといって、特別に偉く立派なわけではありません。仕事振りや人柄が評価されることはあっても、「私が会長だから言うことを聞いて!」「理事長の私の指示には黙って従って!」などの態度は、通用しません。
また、PTAやマンション管理組合は、多様な人の集まりです。PTAの保護者には共働きの人もいれば専業主婦(夫)もいます。働く人も、職業や勤務形態はまちまちです。マンション管理組合ともなれば、高齢者から若者まで年齢層も幅広いでしょう。互いの立場や価値観も多様です。そこでメンバーをまとめあげ、組織の仕事を遂行する際に、指示・命令で人を動かすことはできません。メンバー一人ひとりと対話し、相手の考えを聞き、合意を取り付けながら、各自の希望や持ち味に応じた仕事を任せていくしかありません。
私は、時代変化によって、職場における上司の役割は、このPTA会長やマンション管理組合の理事長と同じになってきていると考えています。
対等な関係の中で相手を活かす
『部下全員が活躍する上司力5つのステップ』(株式会社FeelWorks)前川孝雄 著
日本企業を取り巻く環境は、昭和の戦後高度成長期から平成を経て、大きく変化しました。
若手社員は、終身雇用・年功序列とは異なる仕組みと価値観の中で働いています。ワーク・ライフ・バランスが重視され、仕事とプライベートの調和を重んじる人が増えました。社員が子育てや介護をしながら働き、会社にはその環境整備が求められるようになりました。また非正規社員の増加で、職場の雇用形態も多様化しました。副業解禁の流れで、複数の仕事を持つスタッフも増えるでしょう。雇用延長が進み、年上部下の存在も普通になるでしょう。
かつての日本企業が、「男性=正社員、妻=専業主婦またはパート」「会社の命令や業務が最優先」であったのと比較すると、隔世の感があります。多様な人が同じ職場で働く今日、指示・命令・管理でチームを動かすことはできません。上司として組織をまとめ、成果を上げるには、部下一人ひとりと対話し、相手の持ち味を活かし、信じて任せるしかないのです。
必定、上司は人間的に偉いわけではなく、あくまで役割だと考えることが常識になります。上司と部下は人間としては対等で、ただ組織でよりよい仕事を進めるために、互いに役割分担をしていると理解することです。
上司とは、部下の働きがいと活躍・成長を支援する役割と自覚し、その役に徹すること。それによって、上司自身も働きがいを感じられ、リーダーとして成長できるでしょう。







