脱税の世界史写真はイメージです Photo:PIXTA

革新的な製品・サービスで成長を遂げたGAFA。その躍進の一因には、周到に計画された「グローバル節税」もあったことはご存じだろうか。ここでは元国税局調査官の大村大次郎氏が、アマゾンやアップルの逃税手法を解説する。本稿は、大村大次郎『脱税の世界史』(宝島社新書)の一部を抜粋・編集したものです。

アップルの税の抜け穴はアイルランド!?

 GAFAというのは、グーグル、アップル、フェイスブック(※2021年10月にメタ・プラットフォームズへ社名変更)、アマゾンのことです。この4つの企業は、PCインターネット関連で急成長し、世界規模のビジネスを行っているアメリカの企業です。これらの企業は、タックスヘイブンをうまく使った逃税をしていることでも知られています。

 その代表的なケースを、アップルに見ることができます。アップルの逃税スキームは、非常に巧妙なものでした。

 アメリカには、コストシェアリングという制度があり、アメリカの会社と外国の会社が、無形資産を共同開発した場合、アメリカでの権利はアメリカの会社が、アメリカ外での権利は外国の会社が使用できることになっています。

 アップルはこの制度を利用し、アイルランドの子会社にアップルの研究開発費を負担させました。そうすることによって、「共同開発」という体裁をつくったのです。

 研究開発はすべてアメリカで行っているにもかかわらず、アイルランドの子会社が費用を負担しているということで、「共同開発」ということになったのです。これにより、アメリカ外でのアップルの使用料は、アイルランドの子会社がすべて受け取れることになったのです。

 アイルランドの法人税率は12.5%であり、アメリカの約3分の1です。2004年には、アップルは世界売上の3分の1以上を、アイルランドの子会社に集中させていました。