ハーバードのレポートが否定した
ストレスに関する「三つのエセ常識」

 米ハーバード・メディカル・スクール(ハーバード大学医学大学院)が「Special Health Report」として、「ストレス管理(マネジメント)」を発行している。その中では、一般に常識と考えられているような話を真っ向から否定する内容が満載されていたので引用したい。詳細については、レポートを購入してほしい。

 もし、あなたがストレスについて、下記の三つが正しいと信じているなら、改めた方が良さそうである。

(1)ストレスは悪いことだ
(2)余命が減るたびに、ストレスが増していく
(3)人間関係の量が少ないことは問題だ

 まず、「(1)ストレスは悪いことだ」から見ていこう。

 結論から言って、ストレスが常に心身に悪い影響を与えているということはない。ストレスは通常、悪影響を及ぼすとされるが、時折良い結果をもたらすこともある。ストレスを刺激と捉え、それをエネルギーに変換して成功する人々も存在しているのだ。

 つまり、ストレスの反応を変えることで、エネルギーが奪われるのではなく、ストレスから力を引き出すことが可能だという。「Special Health Report」では、そのような可能性を示唆する研究が紹介されている。その箇所を引用して紹介しよう。

「その一つとして、米コロンビア大学の研究を挙げてみましょう。ここでは、模擬面接に参加する人々に、ストレスについての二つのビデオを視聴させました。一つ目のビデオは、『ほとんどの人がストレスは悪いと認識しているが、それがどれほど私たちを衰弱させるかは想像以上だ』という警告メッセージを伝えていました。一方、二つ目のビデオでは、『多くの人がストレスをネガティブに捉えがちだが、実はストレスはわれわれのパフォーマンスを高める可能性がある』という驚きのメッセージを伝えました」

「この二つ目のビデオは、さらにストレスが集中力を高め、学習経験を豊かにし、刺激を提供することを説明しています。どちらのグループの参加者も、模擬面接をストレスフルな経験として感じ、その反応はほぼ確定的でした」

「しかし、注目すべきはその後の反応です。インタビュアーからの厳しい批評にかかわらず、どちらのグループも同じ量のストレスホルモン『コルチゾール』を生産しました。しかし、二つ目のビデオを視聴したグループは、コルチゾールからの回復を助けるホルモン『DHEA』のレベルが高くなっていました。この違いを生んだのは、単にどちらのビデオを視聴したか、つまり面接に臨む際の考え方だったのです」