「なんか嫌」な上司…嫌な理由を言葉にすると、なぜか心穏やかになる訳「はぁ。あの上司。“なんか嫌”だな」。この“なんか嫌”をしっかり言葉にしてみよう(写真はイメージです) Photo:PIXTA

スポーツや仕事などで自分の能力をフルに発揮して、成果を出すには自分の感情をコントロールすることが必要不可欠。そこで今回は、メンタルバランストレーナーとしてアスリートをはじめとして多くの人にカウンセリングを行う御堂剛功さんの新刊『ZerO理論 人生の問題をすべて解決する奇跡の方式』(青春出版社刊)から感情をコントロールするコツについて抜粋し、紹介します。

モヤモヤした感情をそのままにするな

 悲しい、うれしい、ワクワクする、緊張する、ムカつく、怖い…。学校や職場、その他いろんな日常生活の場で、あなたはきっとこうしたさまざまな感情を抱いて過ごしているはずだ。

 こうした自分の感情と向き合うため、あなたに実践してほしいことがある。

 それは、とにかく「感情を意識して生きる」ってこと。何かをしたとき、しているとき、「今、自分はどんな感情を抱いているか」、あえて意識してみる。具体的には「ラベリング」をしてみてほしい。ラベリングとは、そのまま訳せば「ラベルを貼ること」。

 たぶん、多くの人はその感情に名前をつけず、なんとなくモヤモヤとした感覚だけで捉えているんじゃないかな。感情に向き合うのは、少し怖いことでもあるからね。

 けど、逆やねん。

 心理学の世界では、今自分が抱えている感情を、ただそのままにしておくのではなく、ラベルを貼るように明確な言葉にして表現すると、心穏やかになり気持ちが落ち着いてくることが知られている。それこそが心理学の世界でいう「感情のラベリング」と呼ばれる行為のメリットだ。

 もやもやと、はっきりしないまま感じていたネガティブな感情も、言葉にすることで、手にとって対処できるような気がしてくる。結果として落ち着けるわけやね。だから「ラベリング」する。何かしらの感情を抱いたら、それをいちいち言葉にしてみたらええ。

「感情のラベリング」で“いま、自分がどんな状態か”を理解する

 たとえば、ある日あなたが会社でこう思ったとしよう。

「はぁ。あの上司。“なんか嫌”だな」

 この“なんか嫌”をしっかり言葉にしてみよう。

「高圧的で上から目線なのが嫌」

 ほぉ何で嫌なんやろ?

「なんか“バカにされてるというか否定されている気がする”んですよね」

 それや、それ!

 あなたは“バカにされたり否定されたと感じた”ときに、“なんか嫌だな”と抵抗感を覚えたと言うことができる。もし、同じことが場面・場所・人を変えて起こるなら、それがあなたの「癖」「パターン」だと見抜くことができるというわけ。

 そんな具合に感情を言葉にして深掘りをし、書く、記憶する。

 すると自分の癖が見抜けるようになる。続けるうちに、これまで無意識に湧きあがっては消えるままにしていた感情たちに名前がつけられるようになる。それが心の状態を理解する指標になるってわけ。

 最終的には、今自分がどんな状態かを心穏やかに理解できるようになる。

 この「心穏やかに」というのが大事やね。

 自分の感情を言語化する行為は、少し自分を客観的に見ざるをえない。

 心穏やかに自分を見ることで、はじめて感情の言語化ができる。これを続けると、心穏やかに自分を見るのが前より、ラクになる。すると、どんな状況でも仮に動揺したとしても、落ち着いて、客観的に自分の感情と向き合うことで、気持ちをコントロールできるようになる。

 緊張や焦りがあっても、あるいは気落ちなどをしても、客観的に自分を捉え、本来自分が持っている能力を十二分に発揮できるようになるってわけや。

不安でいっぱいになるのは、脳のトリックのせい

 感情のラベリングを習慣化すると、自分の感情を冷静に、ちょっと上から俯瞰で見るように、客観視できるようになる。自分がどんなときに幸せを感じるか。つまり、どんな自分で過ごしていたら幸せなのかが見えてくるようになる。

 それだけではなく、感情に向き合い、味わっていくと、気づくことがある。

「自分の感情が片方だけじゃない」という実感だ。

 これは俺が掲げている「ZerO理論」の大切な要素のうちの1つ、「相対・表裏一体」という考え方でもあるんやけど、すべてのものごとは、相反する別の要素を持っている。それは表と裏のように密接で切っても切れない関係で存在する。人の感情はまさにそう。「不安」と「期待」が同じだけある。

 この「相対・表裏一体」に、感情を味わうことに慣れていない人は気づけない。やっぱり自分の感情も、片方しかない、片側に偏ってしかないと思い込んでしまうからだ。それは脳のトリックやねん。

 あなたの感情も、「相対・表裏一体」になっている。ただし、人の脳は同時に2つの感情を捉えることができない特徴があるんだ。

 でも、考えてみると当然のことなんだよね。「相対・表裏一体」ということは、同じ感情の正反対が、表と裏として同時にあるってことやな。