「あれ? いま何しようとしてたんだっけ?」「ほら、あの人、名前なんていうんだっけ?」「昨日の晩ごはん、何食べんたんだっけ?」……若い頃は気にならなかったのに、いつの頃からか、もの忘れが激しくなってきた。「ちょっと忘れた」というレベルではなく、「しょっちゅう忘れてしまう」「名前が出てこない」のが、もう当たり前。それもこれも「年をとったせいだ」と思うかもしれない。けれど、ちょっと待った! それは、まったくの勘違いかもしれないのです。
そこで参考にしたいのが、認知症患者と向き合ってきた医師・松原英多氏の著書『91歳の現役医師がやっている 一生ボケない習慣』(ダイヤモンド社)だ。本書は、若い人はもちろん高齢者でも、「これならできそう」「続けられそう」と思えて、何歳からでも脳が若返る秘訣を明かした1冊。本稿では、本書より一部を抜粋・編集し、脳の衰えを感じている人が陥りがちな勘違いと長生きしても脳が老けない方法を解き明かす。
動脈硬化と深く関わる認知症
【前回】からの続き 動脈硬化は、認知症のリスクも高めてしまいます。動脈硬化が深く関わるのは、認知症のなかでも「脳血管性認知症」と呼ばれるタイプです。
動脈硬化があり、「脳梗塞」や「脳出血」などの脳卒中を起こすと、神経細胞が大量に壊死(えし)して認知症が急激に進みます。これが、脳血管性認知症です。
“異常タンパク質”が悪さをする
大きな発作を起こさなくても、脳の血管に動脈硬化で小さな障害がたびたび起こっていると、一進一退を繰り返しながら、徐々に脳血管性認知症が進むこともあります。
脳の血管に動脈硬化があり、血液の流れが悪くなると、アルツハイマー型認知症の原因となるアミロイドβ(異常たんぱく質)が悪さをしやすくなることがわかっています(東京大学医学部附属病院の坂内太郎登録研究員、間野達雄助教、岩田淳講師らの研究グループによる)。
神経細胞に障害を与えるもの
マウスで慢性的に脳の血流が低下した虚血(きょけつ)状態をつくり出すと、神経細胞の間を流れる「間質液(かんしつえき)」が淀みやすくなり、生じたアミロイドβ同士が集まってくっつきやすくなります。
それが、より毒性の高い「オリゴマー」というものを形成し、神経細胞を障害することがわかったのです。【次回に続く】
※本稿は、『91歳の現役医師がやっている 一生ボケない習慣』より一部を抜粋・編集したものです。