加えて、ストックオプションを多用するような企業の人事・報酬制度は、成果が上がればこれに連動して報酬を支払うような強いタイプの成果主義であることが多い。こうした成果主義自体が一種のオプションでもあるのだが、こうした仕組みにあっては、なるべく大きなリスクのあるプロジェクトを引き受けて積極的にアップサイドを取りにいく働き方が有利だ。この場合も、「最悪クビで済んで借金は残らない」というダウンサイドの割り切りを持つといい。

リスクを取らない人が割を食う
経済の仕組みはそうできている

 かつてと異なり、労働市場に流動性がある。失敗したら転職すればいい。しっかりと仕事ができて、今の会社に自分を売り込むことができたのであれば、心配はあまりないはずだ。

 かつて(今の若手社員の親世代が若手社員だった頃)と異なり、自分に無理のない範囲でリスクを取ることが有利な働き方となるように時代は180度変化した。手持ちの金融資産でも適度にリスクを取る方がいいが、多くの場合それ以上に大きな資産である「人的資本」で適切なリスクを取らないのはもったいない。

 経済の仕組みは、リスクを取らずに安定していたいと思う工夫のない人が割を食うようにできている。ストックオプション制度のある会社を多いに利用することをぜひ考えてみてほしい。