そろそろ梅雨の季節だ。蒸し暑さと喉の渇きを癒やすには甘い清涼飲料水が定番だが、その1杯を無糖のお茶や水、もしくはコーヒーに置き換えよう。特に2型糖尿病(T2D)の方は。
米国で1976年から続く「ナースヘルス研究」では、研究登録時と追跡期間中にT2Dと診断された1万5486人の成人男女を平均18 .5年追跡。この間に好んで飲んでいた飲料と、狭心症や心筋梗塞などCVDの発症率、および全死亡率との関連を調べた。
追跡期間中、3447人がCVDを発症、また7638人の死亡が記録された。
飲料との関係を調べると、ソーダやレモネードなど甘い清涼飲料水(SSB)を常用していた人は、ほとんど飲まない人に比べて死亡率が高く、1日に1杯のSSBを追加するごとに、全死亡率が8%上昇していた。
逆に、コーヒー、紅茶、低脂肪乳、水の常用者は、全死亡率とCVD発症率、およびCVD関連死のリスクが減少。1日1杯のSSBをコーヒーに置き換えた場合の全死亡率は18%減、同じくCVD関連死は20%低下することも示されている。
SSBをお茶に置き換えた場合は、同16%と24%減、水は同16%と20%減、低脂肪乳への置き換えでは、それぞれ12%と19%のリスク低下が認められた。
人工甘味料入りの飲料で置き換えた場合は、全死亡率が8%減、同じくCVD関連死は15%低下した。研究者は「糖尿病の患者さんは、水分補給の方法にもこだわるべき」としている。
日本人を含む東アジア人は、血糖をコントロールするホルモンの「インスリン」を分泌する能力が遺伝的に低いことが知られている。そのため、欧米人から見るとかなりストイックな飲食習慣でも血糖コントロール不良になりやすい。すでにT2Dと診断済みの方は、加糖飲料を極力避けて、お茶や水、コーヒーへ切り替えていこう。
また、健康診断で高血糖を指摘されたT2D予備群の人は、食習慣に加えて「飲水習慣」も見直してみよう。意外なところにT2D発症リスクが潜んでいる。
(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)