使う道具が少なく
メイク落としも簡単
実際、バラエティーショップで展開されているメンズコスメのブランド数は、コロナ前と比べて2~3倍にも拡大しているそうだ。
「メンズメイクは基本的に、肌のトラブルを隠すことがメインです。まずはクマ、シミ、シワをカバーして、そこからポイントメイクにステップアップしていく人もいる、というのがメンズメイク業界の現状といえます。そのため、メンズメイクを始めたての人がそろえるコスメは、肌を補正するベースメイクアイテムだけでいいのです」
従来のメイクだと、ベースメイクはスキンケアをしたあと、日焼け止め、下地、コンシーラー、ファンデーション、パウダーなどを使用する。ところがメンズメイク用に特化したメンズコスメだと、これらすべてのアイテムがたった一つに集約されたコスメが登場しているというのだ。
「それが“メンズ用BBクリーム”です。メンズメイクにおいて、ある程度の肌悩みはこれ一つでカバーできるよう、各メンズコスメブランドが多機能なBBクリームを発売しています。メンズ用ではないBBクリームは塗った後にべたつきを感じる場合が多いのでパウダーも必要になりますが、メンズ用BBクリームは粉をはたかずともサラッとした仕上がりになるのです。『メイクって手順が多くて大変そう』と感じている男性でも手が出しやすく、初心者でも失敗しづらい設計にしているわけですね」
手軽な分、シミやクマが隠しきれないなどカバー力が甘くなる部分もあるが、「気になるところはBBクリームを重ね付けすればOK」(高橋氏)とのこと。いくつものアイテムを何層にも塗り重ねるわけではないため、従来のメイクと比べると薄付きになるそうだ。
「それほどに、メンズメイクはナチュラル。肌のコンプレックスをカバーし、小ぎれいな状態にするメンズメイクは、『男性のための独自のメイク文化』なのです」
「男性のため」という部分への特化は、メイクをオフする工程にも見られる。
「メイクはただコスメを塗るだけではなく、塗る前のスキンケアや、崩れてきたときの化粧直し、帰宅後にはクレンジング剤でオフもしなくてはいけません。しかし、メンズメイクならスキンケアとコスメを塗る作業だけで終わりです。そもそも薄付きなので大きく崩れることは少ないですからティッシュで軽く抑えるだけでいいですし、メンズコスメ用のBBクリームは洗顔料だけで落とせる作りのものがほとんど。新たにクレンジング剤を買う必要もありません」