「ダライ・ラマは小児性愛者」にだまされた人多数?
感情に訴えかけるものが拡散されてしまう

 ツイッターは良くも悪くも、人の感情に直接的に訴えかけるところがある。どんなに感情的にならないように気をつけている人でも、タイムラインに流れてくる情報に心をまったく動かされないことは難しい。

 ツイッター上で拡散されるためには、その情報の正確性よりもどのように感情に訴えかけるかの方がむしろ重要だ。また、正しい情報であり、正しい批判であっても、それが過熱すれば行き過ぎた制裁につながりかねない状況はよく見かける。

 そういった特性をわかった上で、わざと人の感情に訴えかけるデマを流す人もいる。

 例えば、Newsweekが6月1日に配信した記事『「ダライ・ラマは小児性愛者」 中国が流した「偽情報」に簡単に騙された欧米…自分こそ正義と信じる人の残念さ』によれば、この少し前に世界中で拡散されていた、ダライ・ラマが少年に対して「私の舌を吸って」と言う動画が、伝統的な儀式を意図的に切り取ったものであることを伝えている。

 子どもを狙う性犯罪者に対しては特に欧米ではあらゆる層からの反感が強いため、政敵に対してこういったデマを仕掛ける方法はこれまでも確認されていた。

 ダライ・ラマのニュースを見かけて反応した人は日本にもいただろう。改めて、人は自分の信念や正義によって目が曇ってしまう生き物なのだと思う。

 目に映る情報を疑い、そして自分自身の認識を疑い続けることが、フェイクニュースの時代には必要なはずだ。