一日2回、静かな時間を持てば
集中力が高まり、脳内も整理される

 コンスタントに集中できる力を養ううえでは、朝夕の2回、一日20分程度「静かな時間」を持つことが有効です。

 私は、毎日、朝夕の各20分間、瞑想することを習慣にしています。瞑想という静かな時間は、自分自身や人生について振り返る機会となるだけでなく、緊張やストレスの緩和にもつながります。実際、科学的にもその効果は立証されています。

 瞑想は、集中力を高め、五感を研ぎ澄ます手段でもあります。私にとって、コンディションを高めるための不可欠な時間になっています。

 抜きん出た成果を出すエグゼクティブには、瞑想を習慣にしている人が珍しくありません。アップル社の創業者であるスティーブ・ジョブズはその代表格であり、日本でも経営者を中心に静かな広がりを見せています。

「瞑想」というとハードルが高いと感じてしまう人には、難しく考えずに、心を落ち着かせる時間をつくることをおすすめします。できれば視覚的・聴覚的にもノイズの少ない場所に移動し、スマホはオフにしてボーッと無心で過ごすのです。あえて無心になろうと意識せず、自然と脱力するのがポイントです。

 このとき呼吸を整えるのもよいでしょう。具体的には足を肩幅に広げ、背筋を伸ばし、目を閉じて鼻からゆっくり息を吐き出します。しっかり吐ききったら、今度は鼻から息を吸います。10回くらい繰り返すと、心が静まり、五感もクリアになります。

 ワシントン大学のマーカス・レイクル教授は、ボーッと過ごしている時間に人間の脳が活性化している事実を明らかにしています。これを「デフォルト・モード・ネットワーク」と言います。ボーッとしているときに脳内で有機的なネットワークが形成され、これまで脳が記憶している知識や情報を、意味のあるものにつなげる活動が行われているというのです。

 ボーッと過ごす時間こそが、クリエイティビティを下支えしているのです。