採用担当者が絶対に知っておきたい、就活生への“フィードバック”の重要性

昨年2022年に産学協議会が示した“新しいインターンシップ制度”が、企業・団体によって、今夏(2023年・夏)、主に25卒生(2025年3月に卒業予定の学部3年生、修士1年生など)を対象にスタートする*1 。タイプ3・タイプ4(本文中の図表参照)で呼称される「インターンシップ」は、その実施後に、企業の担当者が学生(就活生)に「フィードバック」を行うことを条件とするが、他のタイプにおいても、優秀な人材を自社に確保するためにフィードバックの重要性が高まりそうだ。就職市場の動向に詳しいダイヤモンド・ヒューマンリソースの福重敦士さん(HD営業局 局長)に、なぜ、就活生への“フィードバック”が採用活動の鍵になっていくのかを聞いた。(ダイヤモンド社 人材開発編集部、撮影/菅沢健治)

*1 2022年(令和4年)6月、文部科学省・厚生労働省・経済産業省の3省合意で「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」を改正。一定の基準を満たしたインターンシップで企業が得た学生情報を、広報活動や採用選考活動にも使用できるようにした。「採用と大学教育の未来に関する産学協議会」(経団連と大学関係者で構成)の公表報告書がベースになっている。

採用市場は「早期化」かつ、「長期化」している

 各種報道によれば、24卒生(2024年3月に卒業予定の学部4年生、修士2年生など)は、23卒生以上の“売り手優位”で内定率も高くなっている。これからインターンシップが本格化する25卒生(2025年3月に卒業予定の学部3年生、修士1年生など)も同じ傾向が続くとみられる。

 そうしたなか、国公私立大学と経団連の代表者で構成される「採用と大学教育の未来に関する産学協議会」が提示した新しいインターンシップ制度(4類型)がスタートする。

 現在(2023年6月末)、就職活動(以下、就活)を行う25卒生は“夏インターン”へ向けてエントリーシート等を提出している段階だ。新しいインターンシップ制度(4類型)で「インターンシップ」の名称を使う場合は5日間以上のプログラムとフィードバックが必要とされるなど、企業側のハードルは高く、“夏インターン”では1日ないし2日程度の「オープン・カンパニー(=タイプ1)」が主流になるといわれる。実際、どのような動きが予測されるのだろうか。

福重 2022年度と比べ、(主に学部3年生・修士1年生を対象にした)インターンシップ等の開始時期そのものは変わっていません。ところが、学生側も企業側も「就活=早期化」というイメージが強く、「内定の出る時期が早くなっている」「就活全体の動きが前倒しになっている」と思いがちです。

 しかし、そうではなく、ポイントは「学生が企業について“知る”時期が早くなっている」ということです。具体的には、インターンシップ等についての企業の告知が早くなり、学生が企業について調べ始める時期も早くなっているのです。

 一方、大手企業等の内定が本格的に出るのは“夏インターン”翌年の4月のゴールデンウィーク前です。結果、多くの学生は1年近くも就活を続けることになり、「早期化」というよりも、「長期化」と捉えるべきでしょう。

 そもそも、学生が「企業について知る」といっても、その数には限度があります。どのような事業を行っているのか、強みや特徴は何か――そうしたことをきちんと調べられるのはせいぜい15社から20社くらい。つまり、就活において、彼ら彼女らの関心の対象になる企業はそれくらいの数であり、まず、採用側は学生の就活スケジュールの中に自社を「組み込んでもらう」必要があるのです。

採用担当者が絶対に知っておきたい、就活生への“フィードバック”の重要性

福重敦士  Atsushi FUKUSHIGE

株式会社ダイヤモンド・ヒューマンリソース
HD営業局 局長

2004年、株式会社ダイヤモンド・ビッグアンドリード社入社(現株式会社ダイヤモンド・ヒューマンリソース)。大阪支社勤務を経て、2018年から首都圏営業局に在籍。メーカー・商社・金融・マスコミ・コンサルなど、大手有名企業と多数かかわり、インターンシップのプロデュースをはじめ、人材採用から育成までのコンサルティングを手がけている。