25卒採用“インターンシップ改革”で、人事担当者が知っておきたいこと

2022年4月、国公私立大学と経団連(一般社団法人 日本経済団体連合会)の代表者によって構成される「採用と大学教育の未来に関する産学協議会」が、報告書『産学協働による自律的なキャリア形成の推進』を公表した。これをきっかけに、新卒採用における企業のインターンシップのあり方が大きく見直されることになった。注目されるのは、25卒生(2025年3月卒業予定の学部生・院生)から従来のインターンシップが4類型に整理され、「インターンシップ」の名称を使うには5日間以上のプログラムとフィードバックなどが必要になる場合もあることだ。今回の“インターンシップ改革”の内容と影響、そして、企業の経営層と人事担当者は、どのように、その準備と対応を進めればよいのか――ダイヤモンド・ヒューマンリソースHD首都圏営業局局長の福重敦士さんに話を聞いた。(ダイヤモンド社 人材開発編集部、撮影/菅沢健治)

4タイプに分類される25卒のインターンシップ

 昨年2022年4月に公表された、産学協議会の報告書は、タイトルが『産学協働による自律的なキャリア形成の推進』とあるように、大学や企業が学生に対して、就職活動(以下、「就活」)段階から将来のキャリアをしっかり考えさせることがねらいだ。福重さんは、その背景を次のように分析する。

福重  いまや、人生100年時代となり、また、変化の激しいVUCAの時代に突入しています。もはや、どの企業でも“新卒入社すれば定年まで安泰”というわけにはいきません。一方、自分のキャリアを自律的に考えるといっても、そう簡単にできるわけではありません。そこでまず、就職活動・採用活動におけるインターンシップのあり方を根本的に見直そうということから今回の報告書が出てきたとみています。

 報告書では、国内企業のインターンシップは国際的に見ても独特で、問題が多い一因として、1990年代後半に政府が主導するかたちで、専ら「教育目的」としてインターンシップが導入されたことを挙げています。インターンシップの本来の機能は「学生のキャリア形成支援」であり、それは、「教育目的」とは別だということを国公私立大学と経団連の代表が明確に認めたという点で画期的です。

 報告書で打ち出された“インターンシップ改革”の第一のポイントは、これまで「インターンシップ」という名のもとに入り乱れていたかたちの多種多様なプログラムを4つに分類し、定義したことだ。

 4類型のうち、「インターンシップ」という名称が使えるのはタイプ3の「汎用的能力・専門活用型」とタイプ4の「高度専門型」だけだ。従来最も多かった“一日開催”といった短期間のプログラムは「オープン・カンパニー」という名称になる(タイプ1)。

 そして、第二のポイントとして、新しい「インターンシップ」のプログラム(タイプ3&4)では、次の5つの要件を満たす必要がある。

(a)就業体験要件…半分以上の日数を職場での就業体験に重視
(b)指導要件…社員が指導(タイプ3ではインターンシップ修了後にフィードバックも行う)
(c)実施期間要件…タイプ3(汎用的能力・専門活用型)は5日間以上、タイプ4(高度専門型)は2週間以上
(d)実施時期要件…学部3・4年/修士1・2年の長期休暇に実施
(e)情報開示要件…募集要項で必要な情報を開示

 これらの要件を満たせば、2023年度に学部3年生、もしくは修士課程に進学する学生から次の2つのことが可能になる。

(1)プログラムを通じて取得した学生情報を採用活動開始後に活用する
(2)募集要項に「インターンシップ」と称し、「産学協議会基準準拠マーク」を記載する

 はたして、こうした“インターンシップ改革”は、就職活動・採用活動の現場にどのような影響を及ぼすことになるのだろうか。

福重 まず、大学では、学生に対するインターンシップの啓蒙が進むでしょう。インターンシップが採用とリンクすることから、特に学生に推奨するのはタイプ3だと思います。学内で行うセミナーにおいても、「インターンシップ説明会」と銘打ったものについては、タイプ3かどうかで参加企業を選別する動きが一部では出てくるでしょう。当然、学生も「就職に有利になるかもしれない」という考えからタイプ3のインターンシップに参加する動きが強まるはず。ただ、タイプ3のインターンシップの開催は、企業側にとって、人的にも時間的にも多くの学生を受け入れることは難しい。そのため、そこに参加することのできる学生は限られてしまいます。そのことがわからずに応募して落ちてしまうと、その企業への興味が一気に下がってしまいがちになるのもたしかです。

 一方、大学3年生を主な対象に、夏にタイプ3のインターンシップを行ったとしても、参加した学生の興味を、各社の結果が出始める大学4年の翌年4月頃まで継続することもなかなか難しいでしょう。こうしたことから、25卒の採用においては、企業は、夏にタイプ1の「オープン・カンパニー」で多くの学生に対してPRを行い、年末から翌年にかけてタイプ3のインターンシップで採用したい学生の囲い込みを行うというのが現実的な動きになるのではないかとみています。

福重敦士

福重敦士 Atsushi FUKUSHIGE

株式会社ダイヤモンド・ヒューマンリソース
HD首都圏営業局 局長

2004年、株式会社ダイヤモンド・ビッグアンドリード社入社(現株式会社ダイヤモンド・ヒューマンリソース)。大阪支社勤務を経て、2018年から首都圏営業局に在籍。メーカー・商社・金融・マスコミ・コンサルなど、大手有名企業と多数かかわり、インターンシップのプロデュースをはじめ、人材採用から育成までのコンサルティングを手がけている。