半導体製造装置を手掛けるニコンが、露光装置の新製品を投入する。ところがこの“新作”は、露光装置の中で最も「ローテク」に位置付けられものであり、ライバル・キヤノンの牙城でもある。あえてローテクに“下りた”ニコンの戦略を明らかにするとともに、独自路線を取る日系2社の対決模様に迫る。(ダイヤモンド編集部 今枝翔太郎)
ニコンが新型露光装置発売へ
あえて“ローテクに下りた”理由とは
半導体露光装置業界で、海外勢の後塵(こうじん)を拝する日本勢同士の争いがより一層激化しつつある。
半導体露光装置とは、電子回路パターンをウエハーに焼き付けるもので、製造過程でさまざまな技術や装置が必要とされる半導体の中でも最重要装置の一つとされる。非常に高度な技術を必要とされるため、「史上最も精密な機械」の異名を持つ。
その露光装置を手掛けるニコンが、来年夏に新製品を投入し、ライバルであるキヤノンに攻勢を仕掛けようとしているのだ。
新製品といっても、最新技術を駆使したハイテク製品とは程遠い。それどころか、ニコンが新たに販売するのは半導体露光装置の中では最も“ローテク”とされる製品で、「新製品というよりむしろ『復刻版』に近い」(ニコン関係者)という。
なぜ、ニコンは最先端領域を目指さず、あえてローテクに“下りた”のだろうか。そこには、ハイテク領域で海外勢に勝てない日本勢ならではの秘策がある。
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