今年1月に日本に参入したEVメーカー、BYDが低価格を武器に母国の中国だけでなく、東南アジアで攻勢を掛けている。EVシフトが急速に進む中、日系自動車メーカーは新型EVで挽回できるのか。日本勢は戦略の練り直しを迫られている。(ダイヤモンド編集部 宮井貴之)
中国やタイでは日本よりEVを
35万~171万円も安く販売して攻勢
中国の比亜迪(BYD)は今年9月から、日本で電気自動車(EV)「DOLPHIN(ドルフィン、上写真)」の販売を始めた。BYDが1月に日本上陸第1弾として売り出したスポーツタイプ多目的車(SUV)「ATTO 3(アットスリー)」に続く小型EVである。
ドルフィンの強みは何といってもコストパフォーマンスにある。充電1回当たりの航続距離が400キロメートルの通常タイプと、476キロの2種類があり、価格は363万円からだ。
EVを購入した際に国から65万円、さらに東京都から45万円のEV補助金を受け取ることができるため、実質負担額は200万円台となる(東京都在住の場合)。
ガソリン車と比べれば割高だが、トヨタ自動車のEV「bZ4X」が600万円程度、日産自動車のEV「リーフ」が400万円程度であることを踏まえれば、EVとしては安いといえる。
日本での発売に合わせ、国内の一般的な機械式駐車場に設けられているサイズ制限をクリアするため、全高を1570ミリメートルから1550ミリメートルに調整するなど、かゆいところにも手が届くような仕様になっていることも見逃せない。
次ページでは、BYDが低価格で販売できる秘訣や、国ごとに異なる価格の実態を明らかにする。