韓国の現代自動車が、主要な国外拠点だった中国での事業を急速に縮小している。今年に入り、現地工場を売却した事実も明らかになった。一方で中国を諦めない姿勢も見える。国外自動車メーカー難攻の地・中国において、現代自動車はどんな戦略で巻き返そうとしているのか。(ダイヤモンド編集部 猪股修平)
1000億円超の利益を生んだ中国で低迷
巨額投資も数年で水の泡に
現代自動車は最盛期、中国・北京に3つ、江蘇省常州市と重慶市にそれぞれ1つの計5工場を稼働させていた。合計で年間150万台超の生産能力を誇り、中国での販売台数は一時100万台を超えていた。
現代の中国進出は、サッカー日韓ワールドカップがあった2002年にさかのぼる。
中国自動車大手の北京汽車集団との合弁で北京現代を設立し、主力セダン「ソナタ」で存在感を見せた。その後は現地向けモデルの開発を進め、販売台数もうなぎ上りに。中国での急成長ぶりを韓国メディアが「現代速度」と評するほどだった。
その後、価格競争で一時低迷するも、10年代にはV字回復を見せた。16年、中国での黒字は1000億円超となり、現代速度はますます加速するかに思えた。
しかし、EV(電気自動車)開発の出遅れなど、“三重苦”が現代を襲い、稼働して間もない工場売却の決断を余儀なくされた。
次ページでは、北京現代に吹いた向かい風の要因や、現代の脱中国シフトの動きを明らかにするとともに、したたかに中国ビジネスを再構築しようとしている現代の直近の動きに迫る。