世界中の各産業から引き合いが強く、長らく好況が続いている半導体業界。日本勢が強みを持つのは半導体製造装置の分野だが、この領域を中心に「5年後も期待大」といえる3社をセクターアナリストが分析。市場で懸念されている供給過剰リスクの行方は?特集『円安・金利高・インフレで明暗くっきり! 株価・給料・再編 5年後の業界地図』(全24回)の#19では、東京エレクトロンやレーザーテック、アドバンテストやルネサスエレクトロニクスなど半導体関連各社の収益動向、待遇を解剖する。(ダイヤモンド編集部 竹田幸平)
次は供給過剰リスク時代が来る!?
需給の荒波乗り越え「期待の3社」
半導体産業が歴史的な好況に沸いている。直近の2022年3月期決算では、半導体製造装置を手掛ける東京エレクトロンやアドバンテストなどが軒並み最高益を更新。半導体メーカーのルネサスエレクトロニクスは22年1~3月期決算で史上初めて、四半期で営業利益が1000億円を超えた。
世界的な半導体不足、裏返せば需要が引きを切らない絶好調が続いているが、市場には一つの不安が渦巻く。それは、需要に対応すべく各社が新たな生産能力を急増し、むしろ24年にも「供給過剰に陥るのではないか」との懸念だ。
今のところ装置メーカー側は強気を貫く。ただ数年前には、記憶用半導体であるNAND型フラッシュメモリーの領域で、市場が不安視した供給過剰リスクが顕在化。会社側より市場の方が先見の明があったという過去もあり、足元の両者のギャップに一抹の不安が漂う。
供給過剰リスクはどれほど大きいのか。次ページでは、半導体セクターを担当する大和証券の杉浦徹アナリストが、需給の凹凸を乗り越え、今後5年の伸びに期待できると考える3社を開陳。その理由のほか、東京エレクトロンやレーザーテック、アドバンテストやルネサスエレクトロニクスなど半導体関連各社について、5年先までの予想利益や収益性、待遇の動向について一挙に明らかにしていこう。