「あれ? いま何しようとしてたんだっけ?」「ほら、あの人、名前なんていうんだっけ?」「昨日の晩ごはん、何食べんたんだっけ?」……若い頃は気にならなかったのに、いつの頃からか、もの忘れが激しくなってきた。「ちょっと忘れた」というレベルではなく、「しょっちゅう忘れてしまう」「名前が出てこない」のが、もう当たり前。それもこれも「年をとったせいだ」と思うかもしれない。けれど、ちょっと待った! それは、まったくの勘違いかもしれないのです。
そこで参考にしたいのが、認知症患者と向き合ってきた医師・松原英多氏の著書『91歳の現役医師がやっている 一生ボケない習慣』(ダイヤモンド社)だ。本書は、若い人はもちろん高齢者でも、「これならできそう」「続けられそう」と思えて、何歳からでも脳が若返る秘訣を明かした1冊。本稿では、本書より一部を抜粋・編集し、脳の衰えを感じている人が陥りがちな勘違いと長生きしても脳が老けない方法を解き明かす。
知っておきたい
「糖質」「血糖」「血糖値」
【前回】からの続き 続いて、糖尿病と認知症の関わりについて見てみましょう。
糖尿病と動脈硬化・認知症との関連を語る前に、まずは「糖質」「血糖」「血糖値」について正しく理解しておく必要があります。
糖質は、脳の神経細胞をはじめ、全身の細胞の基本的なエネルギー源です。そのため、いつでも体内で利用できるように「血糖」として血液中を循環しています(血糖とは、細かくは血中のブドウ糖[グルコース]のことです)。
「糖質」ってなんだろう?
また、ひと口に「糖質」といっても、さまざまな種類があります。
ごはんやパン、麺類といった主食に多く含まれているのは「デンプン」ですが、これはブドウ糖を無数に連ねたものです。
お菓子などに含まれる砂糖の主成分は「ショ糖」ですが、これはブドウ糖と果糖(フルクトース)が合体したものです。果糖はその名の通り、果物に多く含まれています。
「血糖値」ってなんだろう?
食事に含まれるこうした糖質も、体内の筋肉や肝臓に蓄えられている糖質(グリコーゲン)も、最終的には全身の細胞がエネルギー源として利用しやすい血糖につくり替えられます。
この血糖が、血液1dl(100ml)中にどのくらい含まれているかを示した数値が、「血糖値」なのです。
健康な人であれば、血糖値は70~110mg/dl未満の範囲に収まるように調整されていますが、これよりも血糖値が高くなり、下がりにくくなるのが「糖尿病」です。【次回へ続く】
※本稿は、『91歳の現役医師がやっている 一生ボケない習慣』より一部を抜粋・編集したものです。