管理組合側が管理会社から契約更新を断られる「逆リプレース」が増えている。だが、それは管理会社だけに非があるわけではなさそうで……。特集『マンション管理 天国と地獄』(全18回)の#5では、RJC48(マンション管理組合理事長勉強会)メンバーが管理会社と管理組合のカネについて語る。切られる組合の特徴、キラキラタワマン特有の謎の収支構造、管理組合は稼げるのか、修繕積立金を運用するならどの商品なのか、など話題は広範にわたった。(聞き手/ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)
がすたま @gasu_tama 2カ所の大規模マンションで理事長を経験
ぞくぶつちゃん @sokubukken マンション管理が趣味の人(炎上系)
中宇宙楼 (なかぞら・たかよし) 大規模マンションの組合役員
はるぶー @haruboo0 RJC48代表。東京都足立区の500戸超マンションの理事を13年
ずっと管理委託費上げていないあなたのマンション
スルーしてると「リプレース」されちゃうかも
――今日は、昨今話題になっている「管理拒否」の話です。これまで「リプレース」というと、管理組合が管理会社を他社に入れ替えることを指していました。ところがここ数年、逆に管理会社が管理組合との契約を自ら打ち切るという「逆リプレース」の動きが相次いでますね。なぜこういうことが起きているんでしょうか。
中宇宙楼(中宇) 管理会社への支払いはわれわれが負担する管理費が財源ですが、管理費はわれわれの給料や物価に連動して上がるものではない、極めて上方硬直的なおカネです。このため、管理組合は管理会社に支払う委託管理費の値上げに抵抗する。しかし、当然のことながら、人件費などの諸経費が上がったら管理会社としても苦しい。
そもそも、管理会社の経営って基本そんなに余裕はないんです。管理業界って大規模修繕とかいろいろな副業をやらずに本業の管理だけでは、なかなか食べていけないという特異な業界でもあるんですよね。
そういう管理会社が料金引き上げを言ってくるのは、よほどの事情があることをわれわれも理解すべきかと。だいたい1年とか前に理事会に相談されるから、内容は検討するにせよ、基本的には住民を説得する方向で動くしかないですよ。
はるぶー 管理費は確かに、全体の平均値がここ6~7年ですごく上がってきているんです。これは、新築マンションの管理費が上がっているから。とにかく新しいマンションの管理費の上がり方が尋常じゃない。毎年10%とか上がってますからね、人件費上昇などの経費上昇分で説明ができる値上げ幅はせいぜい年率で1~2%にすぎないのに。
これはつまり「最近5年以内に新築を買った人が、15年前に買った人のマンション管理事業の赤字分を補填してあげている」ことに等しい。個別では赤字になっている古いマンションも多いはずなんだけど、なかなか管理費値上げに管理組合が同意してくれない。だから同じ会社で管理を受託した新築マンションで、マンション価格もどうせ高いから管理費も高い初期設定で組み込んで埋め合わせるというやり方で、なんとかこれまでやってきた。でも、ついに追い付かなくなってきて古いマンションに管理費値上げを要求、受け入れられないなら撤退もやむなし、となっている。
――なるほど。そもそも管理事業だけではあまり稼げない、古い赤字契約も我慢してやりくりしてきたものの、限界がきているということなんですね。古いマンションで管理費値上げ要請をのまされる管理組合も大変でしょうけど、何よりかわいそうなのは最初から割高の管理費で買わなきゃならない新築マンションの購入者ですね。こういう流れに、管理組合やそれにマンションの購入者はどう対応すればよいのでしょうか?