マンション管理 天国と地獄#12Photo:PIXTA

2021年から急速に導入が増え始めた「第三者管理方式」。これまでの組合運営のスタンダードである理事会を設置せず、第三者に丸ごと組合運営業務も含めて委託するという新しい方式だ。つまり、住人ではなく業者がやってくれるのだ。管理組合理事のなり手不足が問題視される中、果たして令和の新管理方式として根付くのだろうか。特集『マンション管理 天国と地獄』(全18回)の#12では、にわかに注目が集まる第三者管理方式について、現状と課題をまとめる。(ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)

マンション管理はスマホでOK!に
管理業務を全部外注する新方式とは

 あるマンションに住むAさん。ごみ置き場の管理についての提案をスマホのアプリに入力すると、「管理者」からチャットでレスポンスが送られてくる。「これは決議案にして、皆さんから決を採りましょう」。

 しばらくするとそれを決議案にまとめたものがアプリ経由で届き、アプリ上で投票が行われる。いまの長期修繕計画の状況などもアプリ上でいつでも確認できる――。

 これは長谷工コミュニティが管理委託契約を結んでいる一部のマンションで、2021年から始めている第三者管理方式、smooth-e(スムージー)だ。

 第三者管理方式とは「管理組合業務をそのまま全部外部委託」する新しい管理形態だ。管理者、とはこれまでは管理組合理事長が務めていた役割だが、smooth-eでは長谷工コミュニティの担当者が務める。

 従来のマンション管理は、輪番や立候補などで理事を選び、その理事たちが知恵や労力を出し合って行ってきた。だが、本特集#6#8#11などで見てきたように、理事会にやる気と能力のある人が集まらなければ管理組合の運営活性化はできないし、その後理事が代替わりしても活発な運営が維持できるのかという問題がある。

 さらに、タワマンなど1000戸を超える区分所有者がいる管理組合で意見集約を行ったり、複雑なマンション設備のメンテナンスや交換などについて判断を下したりと、いわばプロの知識と技術が管理組合理事会に求められることが増えてきている。これらの管理業務を、自身も管理費と修繕積立金を払っている区分所有者にもかかわらず、無報酬で時間を割いて担うのは負担が大き過ぎる。

「マンションに入居すると自分も定期的に管理組合の理事になるなど、管理に関わらなければならなくなる。マンションと戸建てを比較して、マンションで管理に関わる煩雑さが嫌だと戸建てに流れる顧客も出てきている」と合人社計画研究所の山本計至経営企画本部長は指摘する。

 そこで急激に広がっているのが第三者管理方式というわけだ。ざっくりいえば、「住人ではなく業者がやってくれる」方式だが、詳しい仕組みはどのようなもので、なぜ急速に広がっているのか。管理の全てを外部に投げるという新しい方式は果たしてうまくいくのか。導入方法から落とし穴まで、次ページから詳しく見ていこう。