マンション管理 天国と地獄#17Photo:MRBIG_PHOTOGRAPHY/gettyimages,Yoko Suzuki

たびたび管理会社の実力を占う指標として取り上げられる、管理戸数と企業の経営指標。実は、こうした指標からは、過去に合従連衡を繰り返してきた管理会社の歴史も垣間見える。特集『マンション管理 天国と地獄』(全18回)の#17では、管理業界のメインプレーヤーたちの変遷と歴史を振り返りつつ、「企業パワー」をテーマに作成したランキングを見てみよう。(ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)

「量から質」への転換がくっきり
企業パワーランキングを制したのは

 管理会社を経営力で見た場合、強い企業はどこか?

 本特集#2#7#15では、ちまたの管理会社ランキングにありがちな「量」のみに偏るランキングではない、1管理組合、1戸当たりに各社が割ける人的リソースや、専門資格の取得率などの指標から見たランキングをお届けした。では、各社の「企業としての強さ」で見た場合はどうなるだろうか?

 次ページから詳しく解説するが、管理会社はある理由からこれまで量を追う経営をしてきた。だが、本特集#6でも示したように、人件費の高騰や現場で管理員やフロント担当要員となる人材の不足など、量が強さにつながりにくい状況が昨今生まれている。

 そのため、今回のランキングでは管理戸数規模というオーソドックスな項目に、利益水準、財務の安定性を示す自己資本比率などを組み合わせた。いくら管理戸数を増やしていても、稼げていない、または財務の安定性に問題がある、という状態になってしまっていては本末転倒だからだ。このランキングでは、管理戸数・管理棟数に計10点、管理事業の売上高に5点と量の指標に15点、自己資本比率という倒産しにくさに5点、さらに売上高経常利益率という利益指標に10点という配点でランキングを作成した。

 前出のランキングと同様に、売上高に占めるマンション管理事業の比率が50%未満の企業はランキング対象外としている。加えて、中堅の良い会社を見逃すことのないよう、管理戸数が2000戸以上の会社を対象とした。

 ランキング結果からは、マンション管理会社がこれまで積み重ねてきた歴史的経緯もひもとける。次ページからはその結果と共に、日本の管理会社の系譜も振り返ってみよう。