かつて管理組合側が「切る」対象だった管理会社。ところが昨今は管理会社側が管理組合側に三くだり半を突き付ける例も増えているという。特集『マンション管理 天国と地獄』(全18回)の#6では、立場が逆転する中、実力管理組合と専門家への取材を基に、管理組合はいかにして優良な管理会社と長く付き合うべきかを考える。(ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)
管理組合を「逆リプレース」が頻発!
その背景にある深い事情
「管理委託費を値上げさせてください。通らないなら管理委託契約を更新しません」――。
契約している管理会社から、このような“三くだり半”を突き付けられている管理組合が、ここ数年急増しているという。管理委託費とは管理組合が管理会社に管理費を原資として支払う費用のこと。つまり「こんな料金では、おたくの組合とはもうお付き合いできません」と言われるようなものだ。昨今マンション管理業界かいわいで話題の「逆リプレース」である。
リプレースとは、かつては管理組合が出入りの管理会社を別の会社に替えることを意味していた。2000年代には、管理委託費のカットを目的にしたリプレースがブームになり、リプレース指南コンサルタントが急増したほどである。
ところが、現在起きているのは全く逆の現象だ。「管理組合が受け入れ難い、従来の2倍以上にもなる管理委託費の値上げを要請し、それが受け入れられないなら撤退する、などとあたかも撤退を目的に交渉するところが増えている」と、管理業界関係者は明かす。
管理会社が突如邪悪になって、弱い管理組合をいじめているわけではない。これまで管理組合と管理会社が抱えてきた、根本的な矛盾が今になって噴き出しているだけだ。管理会社の事業の成り立ちや歴史、ビジネスモデル、外部環境はどうなっているのか。それを理解しないまま、旧来の管理組合側の強気なスタンスを続けていれば、あなたのマンションは逆リプレースされるだろう。
実は逆リプレースされるマンションには共通する明確な特徴があるという。あなたのマンションが三くだり半を突き付けられず、優良な管理会社と付き合い続けるにはどうすればいいのか。実際のマンションの実例を基に、次ページから詳細にひもといていこう。