質問で「ほかの人が目に入らないくらい」としたのは、他者の評価ではなく、自分自身の評価による達成感についてだからです。
テストでいい点を取ったとき、試験に合格したとき、表彰されたとき、昇進や昇格したときなどのように、他者と比べるようなことではなく、自分自身が満ち足りた気持ちになることならば、どんなことでもかまいません。
わたしは、たいてい1~2週間に一度のペースで、近所にあるスーパーマーケットにひとりで買い物に出かけます。
一気にまとめて買うので、カートの上と下に載せた2つのかごは、必ず山盛りになります。
大変なのは、それを袋に詰めて家まで持ち帰り、片づけるまでです。なんとか家に着いて、「これは子どもたちがきっと喜ぶだろうな」とか「こういうときに使おう」と想像しながら冷蔵庫や戸棚にしまい、すべてが収まりきったとき、買い物から見事に全部しまいきれた一連の行動に、なんとも言えない達成感と爽快感を感じるのです。
きっと、スーパーで両手に大荷物を抱えて運んでいるわたしの姿を見た人は「ひとりで大変そう」と思うかもしれませんが、まさか、わたしが喜びを感じているプロセスなどとは想像もつかないでしょう。
しかし、わたしにとっては、この瞬間はおそらく自分だけにしかわからない達成感があるのです。
「承認欲求」などのように、だれかに認められたい気持ちがある一方で、わたしたちはだれかが見ていなくても、自分ひとりだけで晴れ晴れとした気分になるというときもあるはずです。
それは、「自分だけの幸せポイント」と言えるかもしれません。あなたが日常で、自分だけが知っている達成感を感じ、満ち足りた気分になれる瞬間とは、どのようなときなのか、ここで少し振り返ってみてください。
・料理が好きな人なら、前からつくってみたかったレシピに挑戦して、イメージ通りに上手につくれたとき
・写真が好きな人なら、夕暮れの絶好の瞬間をカメラに収められたとき
・車が好きな人なら、愛車を洗車して、ピカピカに磨きあげたとき
・珈琲が好きな人なら、豆から選んで、とてもおいしい珈琲を淹れられたとき
・ガーデニングが好きな人なら、季節の変わり目にぴったりの花を植え替えられたとき
・ジョギングが好きな人なら、景色を楽しみながら理想のペースで走り切れたとき
・家電が好きな人なら、いろいろ調べて一番納得のいく商品を買うことができたとき
・旅行に行って、移動のタイミングもバッチリでプランした通りに観光することができたとき
・ずっと読みたかった漫画のシリーズ作品を読破できたとき
杉村貴子 著
どれもが、きっとその人だからこその「やった!」と達成感に満たされた瞬間です。
これは、だれかと比較するものではなく、だれかに評価されるものでもありません。「自分だけの幸せポイント」に夢中になって取り組んで得られた達成感なのです。
もちろん、世の中的に認められることは、誇らしい気持ちになるでしょう。だれかと一緒に何かを成し遂げることで得られる喜びも、とても大切です。
しかし、ここでは「自分だけの幸せポイント」に目を向けてみてください。
だれかに言われたことではなく、あなた自身が見つけた達成感。それはあなたの生きる原動力のコアな部分と言えます。そして、それが自分自身で歩き出す力にもなるのです。