ひとり終活大全#11写真提供:エウレカ

シニアの婚活が盛り上がっている。特に55歳以上で結婚経験のない男性の“積極さ”が際立っている。結婚相談所だけでなくマッチングアプリも、シニア婚活という新市場に期待をかける。特集『ひとり終活大全』(全24回)の#11は、大活況のシニア婚活事情を追った。(ライター 船木春仁)

「週刊ダイヤモンド」2022年7月16日・23日合併号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

50歳以上の婚姻「夫が初婚」が約20%まで増加
シニア男性の熱意が際立っている

 厚生労働省の「人口動態統計」などの分析では、今や50歳以上で結婚する男性の5人に1人が初婚で、四半世紀前の2倍弱の割合になっている。

 一方、女性は初婚、再婚共に傾向に大きな変化はなく、シニア男性の熱意が際立っている。

 各調査年の50歳以上の男女の婚姻総数に対して「夫が初婚」が占める割合は、1995年の12.08%から2020年には19.86%にまで増加している(下図参照)。

 また全年齢の男性婚姻者数に対して50歳以上男性が占める割合も0.39%から1.37%に増えている。明らかに晩婚化の流れがシニアまで続いているのが分かる。

「シニアで初婚の男性では、お子さま、つまり跡継ぎを望まれる方も多く、そうなるとお相手の年齢は30代後半ぐらいになりハードルが高くなりますが、希望をかなえている方も少なくありません」と語るのは、結婚相談所「パートナーエージェント」池袋店の中村美佐子店舗長だ。

 中村店舗長は、コンシェルジュとして常に80組ほどのカップルを見守っているが、加入時の身上インタビューでは、50代で初婚の男性には強いシンパシーを感じ、応援したくなるという。

「男だから稼がなければと強い自覚を持ち、仕事一筋。近くまで来た縁もつかめないままで、コロナ禍でひとり身の寂しさを思い知らされているようなのです」

 一方、女性の方はどうか。日本最大の会員数の恋活・婚活のマッチングアプリサイト「Pairs」を運営するエウレカの西山絵夢執行役員(ブランド部門責任者、CBO)は、シニア市場を開拓するために行った調査結果から、「シニア女性は、決して結婚一辺倒ではない」とみている。

「離別にしろ死別にしろ夫と別れ、子供も家を出ていれば、すっかり自分好みの“城”ができています。そこに男が入り込んでほしいとは思っていない。でも友達よりも踏み込んだ特定のパートナーは欲しがっている。そこでどうしてよいのか分からず困っているし、パートナーがいるだけでよいと割り切ったりもしています」

 若者たちの間ではマッチングアプリサイトの利用は、至極当たり前のものになっているが、シニアの婚活でも注目されるようになってきた。

 次ページ以降では、マッチングアプリのシニアの利用が増え続けている理由や、結婚相手に求める条件のベスト5、シニア婚活で成功するためのポイントを紹介する。