星崎尚彦・ビジョナリーホールディングス前社長Photo by Yoshihisa Wada

眼鏡店「メガネスーパー」を運営するビジョナリーホールディングス(VH)が5月に公表した調査報告書で、「企業価値を毀損(きそん)する行為」を行ったと指摘されたVH前社長の星崎尚彦氏が、ダイヤモンド編集部の独占インタビューに応じた。VHを100%子会社化する強い意向があったという医療IT大手エムスリーの、不透明な株取引や監査法人への圧力疑惑について、星崎氏が衝撃の告発を行った。インタビュー前編に続く後編をお届けする。(ダイヤモンド編集部副編集長 重石岳史、フリーライター 村上 力)

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エムスリーの「プレッシャーで解任」
出資前に谷村社長が個人で株取得か

――報告書には気になる記載がありました。2021年、星崎さんが妻に「C1社からのプレッシャーで恐らく俺が、来年解任される」とのLINEメッセージを送ったと。「C1社」とはどこですか。

 エムスリーです。

――実際にプレッシャーがあったのですか。

 エムスリーはずっと、VHを「100%買いたい」と言ってきて、僕はそれを断っていましたから。

――エムスリーとの最初の接点は。

 エムスリーの出資を受ける前の2019年、谷村格社長が「100%買いたい」と僕に言ってきました。現VH社長の松本大輔氏(当時社外取締役)の仲介でした。

 アドバンテージパートナーズ(AP)がVHの株主から抜けた後、自己資本比率も低かったので僕らは安定株主を探していました。僕がエムスリーに売り込んだわけではなく、松本氏のマッキンゼー時代の上司だったのが谷村社長でした。

 谷村社長とは18年9月に初めてお会いし、VHがどのように再生できたのかを聞きにVH本社(東京・日本橋)に来られました。

 その際、「星崎さん、あなたにビジネスモデルを聞く前に、個人的にVH株を買っといたよ。聞いた後だと買えないからさ」と言っていました。そこから話が始まったのです。