画像生成AIが表舞台へ登場してから約1年。「ChatGPT」などの生成AIはすっかり社会に浸透するようになった。マイクロソフトやグーグルでエンジニアとして活躍し、複数の企業で技術顧問を務める及川卓也氏が、生成AIの現状や課題について改めて解説。「人はAIをどう使えばよいのか」を考察する。
この1年で大きく変化した
生成AIを取り巻く状況
昨年の夏、画像生成AIが華々しく表舞台に登場してから、生成AIが広く注目されています。生成AIとは、大規模言語モデル(LLM)を利用して、自然言語による指示で画像や文章を生成する、人工知能の一種です。
私もこれまでに『テキストから画像を生成する「画像生成AI」、なぜ話題で何が課題なのか』『人とAIのコラボが生み出す「仕事を奪うのではなくサポートする」クリエイティブとは』『プログラミングは不要になるのか?これからのIT教育への期待と懸念』などの記事で、生成AIと人とのかかわりについて取り上げてきました。
話題になってからわずか1年ほどで、生成AIを取り巻く状況は日々変化しています。AIモデルを提供する各社の競争はますます激化し、それぞれの技術が著しく進化しました。MicrosoftやGoogleなど、IT大手の既存製品やサービスへの生成AIの統合も進んでいます。また、生成AIそのもののプラットフォーム化も進み、エコシステムが構築されつつあります。
生成AIの利用も金融機関など、これまでは固いと思われてきた企業に広がっています。業務での活用だけでなく、自社製品やサービスへの取り込みも行われています。