GoogleやMicrosoft、Adobe
も進める生成AIへの取り組み

 OpenAIだけでなく、Googleも同じようなアプローチでプラットフォーム化を目指しているようです。

 Googleは当初、OpenAIに後れを取っていましたが、5月の年次イベント「Google I/O 2023」では生成AIに関する多くの発表をしています。OpenAIにおける大規模言語モデル・GPTに相当する「PaLM 2」を公表、チャットサービスのChatGPTに相当する「Bard」を公開したほか、Google Workspaceに生成AI機能を統合し、GmailやGoogle ドキュメントで文章を作成するときに使えるようにしました。

 また、Google Cloud Platform(GCP)では生成AIを用いたサービス開発を支える基盤を提供。特徴的なのは、自社の言語モデルだけでなく、他社のモデルもGCPで使えるようにしているところです。Googleは全方位的に生成AIを使ったサービスへの対応を進めている印象があります。

 Microsoftも自社のプロダクトやサービスと生成AIとの統合を進めています。ブラウザ「Edge」や検索エンジン「Bing」のほか、Microsoft 365、GitHub Copilotなどに生成AIが取り入れられています。

 Microsoftは自社ではほとんど生成AIを開発しておらず、OpenAIへの出資による強いパートナーシップにより、その技術を活用しています。また、直近のニュースではFacebookやInstagramを運営するMetaの生成AIもサポートすることが発表されています。

 OpenAIとの間では、一部サービスが競合したり、OpenAIが他企業との提携も続けていたりしてギクシャクする部分もあるようですが、MicrosoftはOpenAIと組むことによってビジネスを伸ばしている状況です。特に日本市場では、OpenAIを直接使って何かをするのはまだ不安だという企業が、その技術を活用するMicrosoftを選択することも多いようです。

 生成AIを巡っては今まで挙げた企業のほかにも、AIチップ、言語モデル、言語モデルの基盤となるクラウドサービス、そしてチャットサービスなどのアプリケーションまで、さまざまなレイヤーでまさに今、競争が巻き起こっています。