売れる商品やサービスをつくるのは難しいものと思いがちだが、「仮説力」「商品企画力と伝わる力」「商品への想い」という軸があれば、経験がない人でもヒット商品を生み出せる。新刊『うまいを上手く伝えて売れるを作る驚きの商品開発術』の著者に、ヒット商品づくりのポイントを聞く。

昔からある定番が一番売れる商品Photo:Adobe Stock

おにぎりはあっても
商品が欠品している!?

 まだ商品開発に関わるようになる前、コンビニで加盟店の経営サポートをするカウンセラーをしていたとき、いまの私たちの持論をつくることになる経験がありました。

 カウンセラーは、本社から派遣されて、コンビニ加盟店のオーナーさんを販売面からサポートし、一人あたり7、8店舗を担当します。

 担当変更で、富士山・山中湖方面に抜ける道の入口にある、観光・行楽地に立地する人気店を担当することになりました。

 データを確認すると、週末の1日で800個くらいおにぎりを販売していたのですが、私としては、この来客数であれば、もっと売れるはずだと考えていました。

 土曜日の朝7時に、現地・現物・現実のセオリーに沿って現状分析を実施し、そのお店が抱えている課題を見つけ出すことから始めました。数値上は、やはり1日800個程度しか売れていなくて、200個ほど廃棄ロスになっていたのです。

 実際に店舗に行き、売れ残ったのには理由があることを突き詰めました。

 おにぎりのコーナーを「お客様の立場」で確認すると、売筋のおにぎりがあまり置かれておらず、下位売上アイテムのおにぎりが何種類も並んでいたのです。

 私は、オーナーさんにおにぎりが欠品していることをお伝えしましたが、オーナーさんは棚に残っているおにぎりを指して「こんなに残っているではないか」と言います。

 確かに「おにぎり」はあります。しかし、そのおにぎりをよく見ると、鮭がなく、昆布がなく、明太子がなく、とり五目も、ツナマヨネーズもありません。

 ここでみなさんに伺いますが、コンビニでおにぎりを買うとき、何を買いますか? コンビニのおにぎりの売筋を5つ挙げるとしたら何になるでしょうか。