売れる商品やサービスをつくるのは難しいものと思いがちだが、「仮説力」「商品企画力と伝わる力」「商品への想い」という軸があれば、経験がない人でもヒット商品を生み出せる。新刊『うまいを上手く伝えて売れるを作る驚きの商品開発術』の著者に、ヒット商品づくりのポイントを聞く。

「他社にない点」をきちんと表記する

 商品設計で他社にない部分をつくり、ワークショップ(対話型ディスカッション)などを通じて自社の強みに気づくことができれば、それがブランディングのための差別化要素になります。差別化を売上に結びつけるためには、それをパッケージやパンフレット、ホームページなどにきちんと表記していくことが必要です。これは「言語化の工程」と言えます。

 以下では、ある稲庭うどんの製造企業さんを例に、差別化要素や独自の強みを言語化するポイントを見ていきましょう。

 私たちは、秋田県湯沢市稲庭町にあるうどんメーカー、株式会社稲庭うどん小川さんに声をかけていただき、この会社の事業のリブランディングをお手伝いしました。

 稲庭うどんは秋田の名物として有名ですが、同様の乾燥麺である素麺と比べると、マーケットはそれほど大きくありません。乾燥麺の業界には、「稲庭うどん小川」よりもずっと大きなメーカーさんがいくつもあります。

 業界大手と比べたときの自分たちの強みや特徴は何かを明らかにしていくために、まずヒアリングを実施し、ブランディングのためのチームを編成して、ワークショップを開始しました。

ブランディングの秘訣は、自社の強みを言語化してデザインに落とし込むこと

 経営層、事務部門、製造部門の人たちを交え、さらに会計士にも加わってもらって、企業横断でブランディングのチームをつくりました。こうして編成したチームで、会社の未来像や自社の強み、製品の特徴などについて話し合い、みなさんの考えを言語化していくのです。