経常利益率はコンスタントに8%を達成
そこで初めて、私は気づきました。多くの人は大きな変化を好まず、変化に対応したくないのだということを。そこで自分の中で頭を切り替えて、多数の改革を亀のようにゆっくりとしたスピード感で進めていくことにしました。
それが功を奏し、当初の予定よりは時間がかかりましたが、顧客本位の考え方が社員たちにすっかり浸透して、顧客と一緒に包装・梱包の課題解決に取り組み、顧客の利益向上を支える役割を担うようになったのです。
社員たちの変化は、得意先の社長さんから言われた言葉で実感しました。3人の社長さんから、同じことを言われたのです。「お宅の営業マンはすごい。とにかくこちらの考え方を聞いてきて、何があってもその要望に応えようとする執念がすごい」と。そこから新たなサービスを生みだすことができるようになり、経費削減や環境負荷の低減につながるリサイクル可能なプラスチック製段ボールの開発などは、その一例です。
今では、段ボール製造だけでなく、包装設計、軟包装(ポリエチレンなどを使った包装)、印刷などを含むトータルパッケージサービス業へと大きく業務の幅が広がり、それに合わせて設計部門も強化されていきました。
このように事業が拡大していくにつれ、当社の売り上げや利益率も大きく向上していきました。私が社長に就任した08年は年商が65億円でしたが、それから右肩上がりに上昇を続け、12年目がたった20年には2倍近い100億円に達しました。経常利益率も、段ボール業界の平均が2%程度と低いなか、コンスタントに8%を達成しており、年によっては10%を超えることもあります。
ほとんど口をきかなかった父とも、あれから10年近くがたち、最近になってようやく世間話ができるようになりました。当社はもうワンマンの会社ではありません。今では、私から社員や役員に対して意見を言ったり指示を出したりすることは極力しないようにしています。最終的には社員自身が、会社が進むべき方向性を考えられる会社にしていけたらと思っています。