現場必読!今年の新入社員の育て方【2023年度版】写真はイメージです Photo:PIXTA

終身雇用崩壊による年功序列的な人事制度が成り立たなくなってきました。優秀で生産性の高い若手社員が次々に辞める事態を阻止するには、何をしたらいいのでしょうか。人事のプロとして30年以上、人材採用や育成にたずさわってきた筆者が、若者が次々に辞める企業の共通点と離職防止の対策についてお伝えします。(フォー・ノーツ代表取締役社長・人事コンサルタント 西尾 太)

優秀な若手は「辞めるのが当たり前」
と頭を切り替えるべし

 新入社員はもちろん、優秀な若手がどんどん辞めてしまう。多くの企業がそんな悩みを抱えている。少子高齢化や人口減少による人手不足も深刻化しているので、これは由々しき事態である。

 ただ、その前に考えておきたいのは、今はもう「優秀な若手は辞めるのが当たり前」の時代ということである。株式会社マイナビの「新入社員の意識調査(2022年)」によると、新入社員の約半数が10年以内に退職を予定している。ある企業では、新卒の退職率が6割を超えた。

 近年は、若者の数が減少し、転職サイトやスカウトサービスなども充実している。仕事に対する渇望感や上昇志向を持った人材は、会社を辞めるタイミングを虎視眈々と狙っているはずだ。

 優秀な20代は、どこの会社も欲しいので引く手数多(あまた)である。優秀な若手であればあるほど、転職しやすい環境になっている。むしろこのような時代に同じ会社にずっと残っている若手は、「今のままでいいや」と日々淡々と働いている人材ばかりかもしれない。

 そういう人材が戦力になるなら現状のままでもいいだろうが、虎視淡々と辞めるチャンスを伺っている若手を囲っておきたいのなら、「優秀な若手は辞めるのが当たり前」を前提として、離職を阻止する方法を考えなくてはいけない。

 では、そもそもなぜ優秀な若手は会社を辞めてしまうのか。大きく3つの理由が考えられる。