中国の不動産投資「20年ぶり低水準」、ゼロコロナ緩和でも経済回復に疑問符写真はイメージです Photo:PIXTA

中国の株価が上昇している。先行きを楽観する投資家が増え、人民元は対ドルで上昇した。他方、原油、銅、鉄鉱石など資源価格の上昇は、資源国の通貨の為替レートにも影響している。中国の政策が「締め付け」から「緩和」に向かい短期的に中国の個人消費、生産、物流が増える可能性もある。ただ、現時点で、中国経済が本格的に持ち直すと論じるのは早計だ。例えば、規制緩和にもかかわらず、不動産市況の悪化に歯止めがかからない。2022年の不動産投資は前年比10.0%減少した。1999年以来で初の減少だ。(多摩大学特別招聘教授 真壁昭夫)

中国経済持ち直しの持続性やいかに

 ここにきて、中国経済の先行きを楽観する主要投資家は増えている。そうした楽観的な見方を反映して、春節(旧正月)休暇前の香港の株式市場では、ハンセン指数の上昇が鮮明になった。個人投資家による取引割合が多い本土の株式市場では、上海総合指数の上昇のモメンタムが強まった。

 ゼロコロナ政策の終了などを背景に、中国経済が急速に持ち直すとの投資家の期待は一段と大きく膨らんでいる。短期的には確かに、個人消費をはじめ中国経済の景況感が徐々に持ち直す可能性はある。

 しかし、問題はその持続性だ。不動産投資の減少などを考えると、中国経済は高成長の限界を迎え、安定成長期への移行期にあると考えられる。経済の安定には、中国の不良債権問題の処理や構造改革、民間のアニマルスピリットの発揮による雇用・所得機会の増加が欠かせない。

 今のところ、習近平政権は半導体などIT先端分野などで党主導の産業育成を少しずつ強化してはいるものの、債務問題の解決などにはまだ時間を要するとみられる。コロナ感染再拡大のリスクも依然として大きい。期待先行の中国株の上昇は、そうした先行きのリスクを十分に反映しているとは思えない。