デフォルト懸念急上昇の中国不動産業界
8月6日、カントリー・ガーデンは、期日を迎えた2本のドル建て社債の利払いを実行できなかったと表明した。支払いに30日間の猶予を設けているが、事実上のデフォルト状態に陥った。続く10日、同社は1~6月期の最終損益が450億~550億元(9000億~1兆1000億円)の赤字に転落したもようだとも発表した。
カントリー・ガーデンは、債務の再編を行う可能性にも言及している。8月11日、株価は最安値を更新した。もはやデフォルトは「時間の問題」との見方もある。自力で過剰な債務を返済し、事業運営の体制を立て直すことはかなり難しい。
同社の現状は、不動産などの投資を重視した中国の経済運営が限界を迎えつつあることを示唆する。リーマンショック後、共産党政権は投資を増やして経済成長率を押し上げようとした。
カントリー・ガーデンなどデベロッパーは地方政府から土地の利用権を買い取り、マンション建設を増やした。人口増加は住宅需要が増える期待を高めた。世界的に超低金利環境が続き、「不動産価格の上昇は未来永劫(えいごう」続く」といった神話のような強気な心理は膨らみ、不動産市況は過熱した。
しかし、未来永劫に価格が上昇し続けることはない。20年8月、転機が訪れた。共産党政権は「3つのレッドライン」と呼ばれる不動産融資規制を実施。過度な価格上昇への期待が雲散霧消した。
それ以降、カントリー・ガーデンの資金繰りは急速に悪化。デベロッパー各社は、リストラを加速し生き残りに必死だ。デベロッパーも個人投資家も地方政府も、債務の返済を急がなければならなくなった。
問題は、バブルが崩壊すると債務圧縮を上回るスピードで資産価格が下落することだ。不良債権の増加は避けられなくなる。カントリー・ガーデンのデフォルト懸念の上昇は、中国経済が苦しい状況を迎えつつあることを象徴する。最大手格のデベロッパーが本格的なデフォルトに陥れば、業界全体で債務不履行の懸念は高まるだろう。