「他のみんなとは違う」から
「好き」と言ってくれる

広海 振り返ると、私たちを救ってくれたのは病院やお医者さんではなくて。例えば、勝間和代さんや、発達障害であることを公言している方々だったんです。大人になってから、そういう方々と出会う機会も多々あって。

 実は社会で成功している人の中には同じような人がすごく多いんですよね。それを自分の個性として向き合いながら、自分らしく生きている人がいる、それはぼくにとって大きな勇気になった。もちろん、お医者さんに診てもらうほうがいい場合もあるけど。でも、経験者だからこそのリアルな声やアドバイスは、本で学んだりするよりもずっと参考になった。ぼくがADHDを公表したのも、「同じようにぼくも誰かの力になれたらいいな」という思いがあったからなんです。

深海 私たちがポジティブな気持ちで向き合えるのは、きっとそういう人たちとの出会いもすごく大きいと思うんです。周りの人からすると「ちょっと変わっている」私たちだからこそ、今の仕事ができていたり。「他のみんなとは違う」私たちだからこそ、「好き」と言ってくれる人が周りに増えたり。悪いことばかりじゃなく、良いことにも出会えたのが絶対に大きいよね。実はさっきも広海ちゃんと話していたんだけど、トイレに入っている間、私たちって必ずスマホか本を見ているんですよ。大でも小でも、数秒でも数分でも、絶対に黙って座っていることができないの(笑)。

広海 この積み重ねはきっと自分たちの身になっているはずだって、いつもそんな話をしているんだよね(笑)。

深海 もちろん個人差があるとは思うけど、私が思うにADHDって悪いことばかりじゃないと思うんです。例えば、私の場合は本を読むのがすごく早い。集中力もハンパないし。基本的に家の中でじっとしていることができないから、時間があればあっちこっちへと出かけていく。結果、その行動力は自分のプラスになっているし……。

 でも、こんなふうに「悪いことばかりではない」と胸を張れるようになったのは、きっと周りが私たちを受け入れてくれたからだと思うんですよね。周りが認めてくれたから、私たちも自分を認めることができるようになったというか。

広海 うん、それはぼくもすごく感じる。

「自分たちはダメな子」から
自分を「好き」になれたきっかけ

深海 気にしていなかったとはいえ、子供の頃はやっぱり、自分のことを「好き」とは言えなかった。周りから「あなたたちは普通じゃない」と言われて育ったから。何をするにも怒られて全否定されていたから。どこかで「自分たちはダメな子なんだ」と思っていたんですよね。でも、そんな私たちに周りの人たちが自信を与えてくれたんです。「面白いね」「楽しいね」「最高だね」、そして「そのままでいいんだよ」って。

広海 本当に感謝しかないよね。ぼくはせっかちだし、早口だし、しょっちゅう忘れ物をするし。いつもバタバタしているからか、海外に行っても人によっては「彼はADHDなのね」ってすぐにわかるみたいで。旅先で出会った人から何度かこんな言葉をかけてもらったことがあるんです。「あなたのそれは、とても素敵なギフトだよ」って。

深海 “ギフト”っていい言葉だね。

書影『むすんでひらいて』(ワニブックス)『むすんでひらいて』(ワニブックス)
広海・深海 著

広海 これは欠陥ではなくて、神様がぼくに届けてくれた贈り物なのかもしれない。だから、いろいろな考えがあると思いますが、ぼくは病院から処方された薬を飲むのをやめたんです。これは、あくまでぼく個人の感覚なんですけど、薬を飲むと頭がボーッとして自分らしくなくなってしまう気がして。幼い頃に比べれば、だいぶ症状は落ち着いたものの、今も大変だなと思うことは多々ある。でも、これも自分の個性だし、ぼくは受け入れてます。

深海 とても素敵にまとめてはみたものの……。忘れ物が多かったり、指示された列に並べなかったり、部屋は常にグッチャグチャだし、本当に“大変なこと”も多いんですけどね(笑)。

広海 それに関してはここで改めて謝っておきます。みなさん、いつも本当にごめんなさい!!(笑)