結局、一番いいのは
お酒を飲まないこと

 では、リスクを高めない飲酒量とはどのくらいだろうか? Vinceti氏は、「少なければ少ないほうが良いことは間違いなく、さらに良いのは飲まないことだ。われわれの研究結果は、たとえわずかであってもアルコールを摂取していれば、時間の経過とともに血圧が高くなるという直線的な正の関連を示している」と解説。

 ただし同氏は、「飲酒が高血圧の唯一の原因というわけではない。また、少量の飲酒と血圧上昇リスクとの関連は、大量飲酒ほどには明確でないことも確かなことだ」と付け加えている。なお、飲酒以外の高血圧の原因として、米疾病対策センター(CDC)は、非健康的な食事、肥満、運動不足、喫煙などを挙げている。

 論文共著者の1人で世界高血圧連盟の会長でもある米テュレーン大学公衆衛生・熱帯医学分野のPaul Whelton氏は、飲酒によって血圧が上昇する理由について、「完全に明らかにされているわけではないが、最も可能性の高い理由は、アルコールによって交感神経が活性化することではないか」と解説。

 また同氏は飲酒に関してシンプルなアドバイスも述べている。それは、「現在、習慣的に飲酒していない場合は、飲み始めないことだ。飲酒の習慣がある場合は、断酒または節酒すべきた」というもの。同氏はこのアドバイスを、「高血圧患者ばかりでなく、血圧が正常範囲内ながらも高いという人に対して、特に強く伝えたい。なぜなら、そのような人が飲酒習慣を続けた場合、血圧上昇の経時的変化がより強く現れるからだ」と話している。

 また、本研究には関与していない、米国心臓協会(AHA)のボランティアスタッフで米ニューヨーク大学グロスマン医学部のNieca Goldberg氏は、「重要なメッセージは、飲酒は高血圧や心臓病の予防にはならないという点だ」と述べ、地中海食などの健康的な食事と減塩、運動の励行、睡眠時間の確保を勧めている。(HealthDay News 2023年7月31日)

https://consumer.healthday.com/alcohol-abuse-2662495321.html

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