高齢アルツハイマー病患者は
どうしたらいいのか?

 一方、アデュヘルムに関しては、臨床試験の組み入れ基準を満たしていた参加者の割合は43.9%(104/237人)だったが、特定の健康上の問題を有する場合などの除外基準を考慮すると、適格基準を満たした参加者の割合は5.1%(12/237人)にまで減少した。

 米国では、65歳以上のアルツハイマー病患者の数は約670万人に上ると推定されている。高齢者に慢性疾患があったり脳画像検査で異常が見つかったりすることは珍しくないが、そのために高齢のアルツハイマー病患者の大半がこれらの治療薬の使用の対象外とされてしまう可能性があると研究グループは指摘している。

 Ramanan氏は、「臨床試験は完璧ではないが、診断や治療のための最初のエビデンスとなるものだ」と言う。同氏によると、薬剤の適正使用は、さまざまな面でその薬剤の臨床試験と同様の条件を反映させた使い方であるべきというのが、この領域で形成されつつあるコンセンサスであるという。

 今回報告された研究の付随論評の著者の1人である米バトラー病院のStephen Salloway氏は、「治療薬使用の対象となり得る患者や、それを希望している患者の多くが、実際にはその治療の適切な対象者ではない可能性があるという、臨床医にとって極めて重要な情報が、今回の研究から提供された」と解説している。

 また同氏は、進行したアルツハイマー病患者に対するレケンビの有効性を支持するエビデンスはないことを指摘。「患者に”ノー”と言うのは簡単ではないが、メリットがあまりなさそうな一方で一定の有意なリスクを伴う治療は、提供しないようにすることが極めて重要だ」と話す。

 さらにSalloway氏は、今回の研究から学ぶべき重要なポイントについて、「患者や家族は、記憶力の低下が心配なら、まず、かかりつけ医に相談して調べてもらうべきだ。もし早期のアルツハイマー病であり、除外基準に該当しなければ、これらの治療薬の対象者となり得る。医師の方でも、治療に適した患者の選択とモニタリングを慎重に行う必要がある」と話している。(HealthDay News 2023年8月17日)

https://consumer.healthday.com/alzheimer-s-disease-2663847359.html

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