写真:レギュラー価格194円を表示する長野市内のガソリンスタンドレギュラー価格194円を表示する長野市内のガソリンスタンド(8月30日) Photo:JIJI

ガソリン補助金の延長が、岸田政権らしい「ぐずぐず」の展開で決まった。しかし、合理的に考えれば、補助金はもう「やめ時」ではないか。その理由をお伝えする。(経済評論家 山崎 元)

いかにも岸田政権らしい
補助金延長の「ぐずぐず」

 ガソリン価格が上昇している。原油価格や円安の影響もあるが、政府の補助金が予定通り縮小されていることの影響が大きい。このままだと1リットル当たりで200円を超えてくる可能性がある。

 補助金の縮小は「予定通り」であり、これに伴いガソリンの小売価格が上昇することは国民に周知されていたはずなのだが、ここにきて不満が高まっている。「対策」を求める声があり、岸田文雄首相は、9月で終了するはずだった補助金の年末までの延長を決め、さらに補助金をかさ上げすることにした。そして、今後、補助金はさらに延長される可能性が大きい。

 自民党内では、国民がメリットを「実感できる」措置、効果が「目に見える」補助金を求める声が上がっていて、報道ベースでは、「低迷する内閣支持率を気にする」岸田政権という文脈の注釈が付く。

 政治家が国民の支持を気にすることは必ずしも悪いことではないが、補助金を下げて、戻して、様子を見るという推移は、いかにも岸田政権らしい「ぐずぐず」の展開だ。政策として一貫性があまりにない。周囲の官僚たちは「混乱しているのは政治家さまで、われわれは振り回されています」と言いたいかもしれないが、両方まとめて無能なのではないか。