「会社に対する不満が蔓延している」、「なぜか人が辞めていく」、「社員にモチベーションがない」など、具体的な問題があるわけではないけれどなぜだかモヤモヤする職場になっていないだろうか。そんな悩みにおすすめなのが、近年話題の「組織開発」というアプローチだ。組織開発では、「対話」を通してメンバー間の「関係の質」を向上させていく。そんな組織開発のはじめ方を成功事例とともに紹介したのが、『いちばんやさしい「組織開発」のはじめ方』(中村和彦監修・解説、早瀬信、高橋妙子、瀬山暁夫著)だ。本記事では、発売前から話題沸騰となっている『いちばんやさしい「組織開発」のはじめ方』の出版を記念して、内容の一部を抜粋し再編集してお届けする。

「なんだか職場の雰囲気がおかしい」と感じたら、リーダーが今すぐにやるべき“たった一つの行動”とは?Photo: Adobe Stock

真の問題は水面下に隠れている

 メンバーの誰かが組織にモヤモヤを感じたところから始まるのが組織開発ですが、そのモヤモヤは必ずしもすぐに原因がわかるわけではありません。

 組織開発が得意とするのは、人と人との関係性の変化を通して、違和感のあるプロセスを組織全体で見直すことだと言えます。

 組織開発のはじめ方として有用な視点については、氷山の絵で説明されることが一般的です。組織に起こっている事象は、氷山のごく一部で、実はその大部分は海中に隠れて見えません。組織開発では、水面上に現れている事象をコンテント、隠れて見えない事象をプロセスと呼びます。

 組織開発では、特に水面下に隠れているプロセスの部分に目を向けます。

 プロセスのなかでも、メンバー間の目標の共有や手順、仕事の段取りなど、業務に直結する、あるいは比較的近いものをタスク・プロセスと呼びます。どれも見えにくくはありますが、技術的に解決が可能な課題もあります。

 さらに深い部分、職場の雰囲気や組織風土、メンバーのモチベーション、互いの関係性など、目に見えない部分をメンテナンス・プロセスと呼びます。なぜそうなっているかがわからないモヤモヤは、ここに端を発している可能性が大いにあります。

 組織開発は、このタスク・プロセスとメンテナンス・プロセスの両方を見直していく活動です。

「なんだか職場の雰囲気がおかしい」と感じたら、リーダーが今すぐにやるべき“たった一つの行動”とは?氷山モデル

職場の雰囲気にモヤモヤしたら、まずは「対話」による関係づくりを

 では、どのようにタスク・プロセス、メンテナンス・プロセスを検証していくのでしょうか。

 多くは、「対話」による関係づくりからスタートします。

 タスク・プロセスとメンテナンス・プロセスに目を向けて対話を行うことで、メンバーは自分たちのどのようなプロセスからモヤモヤが起こっているのかに気づくことができます。

 自分たちでモヤモヤの要因に気づくという体験は、自ら現状を変える意志を生み、どのように関係を変えていけば良いかを話し合う一歩にもなります。次の行動へのモチベーションが生まれるのです。

 対話による関係づくりを行い、モチベーションの高い変革行動につなげる。これが組織開発の初めに目指すことなのです。

(本原稿は、『いちばんやさしい「組織開発」のはじめ方』の内容を抜粋・編集したものです)