「会社に対する不満が蔓延している」、「なぜか人が辞めていく」、「社員にモチベーションがない」など、具体的な問題があるわけではないけれどなぜだかモヤモヤする職場になっていないだろうか。そんな悩みにおすすめなのが、近年話題の「組織開発」というアプローチだ。組織開発では、「対話」を通してメンバー間の「関係の質」を向上させていく。そんな組織開発のはじめ方を成功事例とともに紹介したのが、『いちばんやさしい「組織開発」のはじめ方』(中村和彦監修・解説、早瀬信、高橋妙子、瀬山暁夫著)だ。本記事では、発売前から話題沸騰となっている『いちばんやさしい「組織開発」のはじめ方』の出版を記念して、内容の一部を抜粋し再編集してお届けする。

最近話題の「組織開発」って何? 専門家に聞いてみたPhoto: Adobe Stock

企業で注目を浴びる、「組織開発」とは何か?

 ここ数年、組織開発は、企業のあいだで関心が高まり、実践例も増えてきました。ただ、どうすれば組織開発がうまくワークし、組織が変わるのか、戸惑い、迷っている方も多いように思います。

「組織」を「開発」する、というシンプルな二語からなる言葉ですが、そのシンプルさが逆にわかりづらさにつながっている印象もあります。

 いったい、「組織を開発する」というのは、どのような行動を指すのでしょうか。

 我々3人の著者が合意しているのは、次の定義です。

「意図的に行う、良いチームや良い組織づくり」

 組織開発とは、現場にいる人たちが自ら、人と人との関係性を通して組織内の違和感のあるプロセスを見直し、より良い組織をつくる活動、と言えます。

 自分たちが感じるモヤモヤを、自分たちのために修正する。そんな良い組織をつくる活動を通して関係性も豊かになり、組織の健全性も高まると言われています。

 組織を良くするために解決すべき課題や、その手法はさまざまです。

 それがどのようなものであるにせよ、出発点は「何を目的とする組織なのか」を正しく見きわめることになります。これは、誰かが教えてくれることではありません。また、中期経営計画のように、上から降りてくる方針でもないのです。

 つまり、自分たちで見定めることが大事なポイントで、そのために話し合いを重ねる。それが、何よりまず実行しなければならないことです。

(本原稿は、『いちばんやさしい「組織開発」のはじめ方』の内容を抜粋・編集したものです)