睡眠の深さよりも大事な
睡眠時間と睡眠リズム

 とはいえ、スマホだけで正確に睡眠の深さを計測できないということは、当然ゲーム側も理解しているようだ。その証拠に、深い睡眠を取れているかどうかは、ゲームを進める要素になっていない。睡眠の深さについてのデータは、あくまで目安程度に思っておくといいだろう。

「むしろ重要なのは、『睡眠時間』と『睡眠リズム』です。たっぷりと寝て、平日も休日も同じリズムで就寝・起床ができていることこそ何より重要ですから、ゲームでもこの二点が重視されています」

 睡眠時間が長ければゲーム内の睡眠スコアが高得点となり、ポケモンの育成スピードが上がったり、確認できるポケモンの“寝顔”の種類が増えたりする。「ポケモンを育てたい!」「寝顔を集めたい!」という動機から、寝る時間が増えていくわけだ。

「しかも睡眠時間が可視化されるので、『7時間寝た日は調子が良いけど、5時間しか寝られなかった日はなんだかダルかった』と、睡眠とその日の調子の関係性もチェックできます。これらの記録をつけて振り返ると、『やっぱり長時間寝たほうが仕事のパフォーマンスも上がるし、体の調子も良いな』と、睡眠の重要性に改めて気付けますよ」

 ゲーム内では8.5時間以上の睡眠でスコアが満点になる。だが、厚生労働省の「健康づくりのための睡眠指標検討会報告書」によれば、成人以降50歳代までの推奨睡眠時間は、6.5~7.5時間だ。適正な睡眠時間は年齢や性別、体質によっても異なるが、「ポケモンスリープ」が理想とする睡眠時間は、プロからするとどう思うのか。

「成人で考えれば8.5時間は少し長すぎですが、『ポケモンスリープ』はあくまで『睡眠ゲームアプリ』ですから、この時間設定は、ゲームの難易度を高めるためだと思います。難しくてなかなかクリアできないからこそ続ける。とにかく慢性的に寝不足の日本人に『たっぷり寝ること』を習慣付ける方法なのだと思います」