娘から言われた
痛烈な言葉
そんなある日。仕事を終え帰宅すると、玄関口に大学生の娘が立って私の帰りを待っているではないか。
「パパ、聞きたいことがあるんだけど」
「ああ、何だ?」
「なんで毎日、会社行ってるの?」
どうやら社会全体がステイホームと言っている時に、毎日通勤している私の会社が理解できないらしい。
「あのさあ、迷惑なんだよね。そうやって電車乗って会社に行って、コロナにかかって家の中メチャクチャにされてもさあ…」
「ああ、そうならないように気をつけるよ」
「いや、そうじゃなくて、会社には行かないんだよ、普通は。総理大臣がリモートとかで仕事しろって言ってる世の中で、何なの? 社長の方針? それでいいわけ?」
「違うよ。銀行の場合、窓口は必ず開店時刻に開けないといけないんだ。銀行法という法律で決まってるんだよ。パパは窓口の責任者をやっているわけで、こんな時でも行かなきゃならないんだ」
「パパの会社にクレームを入れたいな。そうやって仕事されると家族が迷惑するって。おかしいことが分からないなら訴えてあげたいわ」
「やりたきゃやりなさい。銀行はお金を扱うライフライン、社会インフラの一部であって、止められない仕事なんだ。銀行口座が止まったら社会全体が混乱する。パパはそこで仕事をしているわけさ」
「それは違うわ。じゃあなんで医療従事者や警察や消防には感謝しても、銀行には誰も感謝しないの? 別にやらなくてもいいからなんじゃないの? ライフラインとかカッコつけて自分に酔ってるだけじゃない?」
学校は休校で、バイトもクビになり、家の中でゴロゴロしている娘から痛烈な言葉をもらった。