コロナ禍でも多くの銀行員が
リモートワークできない理由
銀行は、さまざまな業種の企業や個人と関係を持つ、社会インフラである。預金口座利用や融資取引を通じて、社会や産業の発展に貢献している。
そう言いつつ私は、銀行がその役割を果たしていない、あるいは終えたと実は感じている。新型コロナウイルスがまん延し始めた2020年春、ステイホームと都知事が声を上げた。人の流れが止まり、経済が止まった。リモートワークが推奨され、会社に通勤する行為は否定された。
我々銀行において、本部勤務者は直接対面でお客を相手する必要がない。したがってリモートワークは可能なのだが、従業員の大半を占める支店行員、とりわけ窓口担当課は不可能だ。それでも本部や支店長は、窓口担当を2~3グループにシフト分けし、日割りでの交代勤務をしろと指示する。
人数に余裕のある大きな支店ならまだしも、ギリギリで回している小さな支店だと、限られた人員体制を強いられている。来店客の減少で事務量が減っているのは確かだが、窓口を開けるためには一定の人員が必要だ。政府からの要請を受け、リモートワークや交代勤務をやれと号令をかけたとて、これだけの人員でどのように業務を遂行するかは無策。とどのつまり、そんなものは現場で考えろ、としか聞こえない。
そんな多難のスタートを切った交代勤務だったが、ある日、私とは別シフトの管理者である課長代理が、コロナに罹患。その家族全員が感染したことで、約1カ月間の自宅待機になった。私は、彼女の代わりに別シフトも指揮を執ることになり、私の交代勤務は崩れて毎日の出勤となった。