あなたはひとりじゃない
絶縁後の静けさこそ、絶縁の最高の産物と言えるでしょう。
もっとも、人によっては最悪の産物に思えるかもしれませんが。
心の中で、もともと家族がノイズを発していた場所が静寂に包まれるのは奇妙に感じるかもしれません。
ですが、虐待に対してあなたが沈黙したところで、家族は彼ら自身に問題があるという自覚を持たないので、静寂は自然な結果なのです。
彼らはむしろあなたに問題があると見なすでしょう。
あなたの沈黙は反抗と受け取られ、彼らはそれを上回る沈黙であなたを圧倒しようとしてくるでしょう。
私の場合は、絶縁後の静けさにほっとしました。他の多くのサバイバーと同じように、家族からの電話に出たいとはかけらも思いませんし、家族とまた会いたいとも思いません。
昔の私は何度も家族と元の関係に戻っては虐げられを繰り返し、関係改善の余地がないことを思い知りました。今は家族との距離と、連絡を取らないことで得られる安心感に満足しています。
それでも、今もときどき静寂に打ちのめされたり、孤独を感じたり、胸が痛んだりすることはあります。
もしかしたらあなたも同じように感じた経験があるかもしれませんが、あなたは決して独りではありません。
私のクライエントの1人であるジーナも、あなたや私、他の人々と同じように、激しく動揺することがあります。
守られるべき「接触不可」
ジーナの妹は、ジーナの娘に誕生日や祭日のプレゼントを贈ってきますが、そんなときもジーナへの挨拶は一言もありません。
一見、ジーナのほうから妹との連絡を絶ったのだから、そんなことに傷つくのはお門違いだと思うかもしれません。
ですが、「接触不可」の境界線が引かれた場合は、縁を切った本人だけでなく、その子どもにも一緒に「接触不可」が適用されるべきなのです。
しかし毒家族は、例えばジーナのような立場の人を傷つけないように、姪と健全な交流をしようと気遣ってはくれません。
彼らは自分の行動に責任を負ったり、自ら態度を変えたり、あなたやあなたの価値観に配慮したりはしません。
彼らは「やられたらやり返す」を愛情と履き違えています。
「あなたが私を切るなら私もあなたを切るけど、あなたの子どもは私の姪や甥、もしくは孫でもあるから、彼らのことはこれからも食い物にする」という考えのもとに生きているのです。
残念ながら、毒家族があなたと張り合ったり、あなたを除け者にしようと精神的に攻撃してきたりしても、あなたは余計に「接触不可」の境界線を強固に引きたくなるだけでしょう。
毒家族である時点で、彼らに罪がないなんてことはあり得ません。
あなたの毒家族は、自らの意志で意図的にあなたや他の人たちを不健全な生き方に巻き込みます。
彼らはあえて、あなたに害をなす仕事や遊び、人間関係などに興じるのです。
この認識を持つことが、あなたが立ち直る上でとても大切です。
※本稿は、シェリー・キャンベル著 髙瀨みどり訳『幸せになるには親を捨てるしかなかった』(ダイヤモンド社)から再構成したものです。