不動産投資で絶対確認すべき、耐震基準と並ぶ大切なポイントは?写真はイメージです Photo:PIXTA

E(環境)、S(社会)、G(ガバナンス)の3つの評価軸で物件を選ぶ新しい不動産投資に注目が集まっている。20年、30年後も市場から求められる不動産を手に入れたい投資家に、この道のプロが業界のいまと未来を語る。

※本稿は、八尾浩之『ESG不動産投資』(幻冬舎メディアコンサルティング)の一部を抜粋・編集したものです。

20、30年先まで安定して収益を上げる
新型不動産投資「ESG」の可能性を知ろう

 今、不動産投資に新しい潮流が押し寄せてきています。それが「ESG不動産投資」です。

「ESG不動産投資」は「ESG投資」と同じ考え方をベースにしており、ESGとはEnvironment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス)の略です。株式投資や年金運用の分野において、長期的に成長し続ける企業をESGの視点から選別して投資することを「ESG投資」といいます。

 これまでの株式投資や年金運用においては、PL(損益計算書)やBS(貸借対照表)といった財務情報が重視されてきました。しかし、財務情報はあくまで過去の結果でしかなく、将来にわたって持続的、安定的に企業が成長するかどうかまでは分かりません。実際、目先の短期的な利益を優先し、環境やステークホルダーへの配慮を欠いた結果、さまざまなトラブルや不祥事を引き起こし、業績悪化や倒産につながったケースはいくつもあります。

 そこで、企業経営におけるサステナビリティ(持続可能性)に着目する気運が高まり、気候変動などを踏まえた長期的なリスクマネジメントや新たな収益機会創出へのチャレンジを評価するためE(環境)・S(社会)・G(ガバナンス)に着目した「ESG投資」が唱えられるようになったのです。

 E(環境)では、二酸化炭素の排出量や廃棄物をどう削減するか、大気や水の汚染対策をどうするか、原材料やエネルギーなど資源の利用方法、生物多様性への配慮などが挙げられます。

 S(社会)はかなり広い概念であり、地域コミュニティからグローバルまでさまざまなテーマがあります。最近では、新型コロナウイルス感染症対策や「人的資本経営」などが当てはまります。

 G(ガバナンス)は、直接的には企業経営におけるコンプライアンス(法令遵守)や情報公開のことです。日本では上場企業に対して、東京証券取引所(日本取引所グループ)が「コーポレートガバナンス・コード」を定めています。

「ESG不動産投資」とは、こうした「ESG投資」の考え方を不動産投資の分野に適用したものです。

リスクが抑えられて資産の安全性が高まり
長期的なリターンが確保され安定性が増す

 不動産投資においてもこれまでは、インカムゲインやキャピタルゲインというリターンをいかに最大化するかが重要視されてきました。