運動前に飲むべき水の量は?
「発汗により水分を失ってしまう前に、十分な水分補給をしておきたいものです」と、ヒル博士は説明します。
「試合中やレースのスタートラインでトイレが我慢できなくなってしまわぬよう、運動開始の数時間前から水分を補給しておくと良いでしょう。ガイドラインとしては、運動を行う4時間前の時点で、体重1キロにつき5~7ミリリットルの水分を摂取しておくのが好ましいとされています」
「…つまり、『例えば体重85キロの人が20時にジムに行く予定であれば、16時までに425~595ミリリットルの水分を摂っておくべき』という計算です。水分補給が難しいという人の場合には、塩分の多いスナックを食べることで喉が渇きやすくなり、水が飲みやすくなるでしょう。また、取り込んだ水分を保持するのにも塩分は役立つため、その水分を有効に活用することにもなります」
運動中に飲むべき水の量は?
「運動中に水を飲むことの目的として、『体重の減少を抑える』『電解質のバランスを保つ』という2つの理由も挙げられます。ジムでのトレーニング開始前の体重が85キロだった場合、運動中は83.3~85キロの間の体重を維持できるよう、適量の水分補給を行うべきです。運動を終えた時点でもとの85キロに近い体重が保たれていれば理想的でしょう」と、ヒル博士は述べています。
なにをもって適量とするのかについては、発汗の量、そのときの服装、室温や気温など、さまざまな要因によって左右されます。
つまり、試行錯誤が求められるというわけです。運動前と運動後の体重を比べることで、運動中の体重の変化が分かります。それを参考に、自分に適した水分補給の方法を考えるのが良いでしょう。
運動後の体重減少に喜びとモチベーションを覚える人へ!
一方で、ダイエット目的でトレーニングに勤しむ人もいるかと思います。トレーニング後、体重の減少を楽しむことが喜びとなっている人もいるでしょう。そんな人のために、トレーニング時に体重をキープする必要性を「パフォーマンスの維持」を観点に覚えておきましょう。
(上述のように)運動中は発汗により身体の水分が失われます。これによる体重の減少率が体重の2パーセント(例:体重が60キロの場合、1.2キロ)を超えると、集中力の低下やスキルレベルの低下、心拍数や体温の過度な上昇などが起こります。ですので、運動のパフォーマンスを維持するためには、体重の減少率が体重の1パーセント以内に収まるように、十分な水分補給を行う必要があるわけです。
つまり、ダイエット目的であったとしてパフォーマンスの維持により、より効果的な筋トレメニュー(種目)を行えるメリットがあり、結果として目標の減量達成へと近づけるとも言えるでしょう。目先の数値より、水分をしっかりと補給し、質の良いトレーニングと長期的な結果に目を向けてみてはいかがでしょうか。