運動中に適した飲み物は?

「1時間程度の運動であれば、水で問題ありません。より長時間の運動を行う場合には、スポーツドリンクが役立ちます。フルーツジュースを薄めて、自家製のスポーツドリンクをつくることもできます。2~3時間に及ぶ運動や気温が高い場合には、ドリンクに少量の塩を加えるのも良いでしょう。塩に含まれるナトリウムによって、水分の吸収が促されるのです。暑いと感じる場合には、冷たい飲み物で身体が楽になるかも知れません」と、ヒル博士は説明してくれました。

運動後に飲むべき水の量は?

「運動後には、あらかじめ計っておいた体重が役立ちます。体重が1キロ減るごとに、1.5リットルほどの水分を摂取する必要があります」と、ヒル博士。

「運動後にナトリウムを摂るべきか否かについては、そのときの気温や運動時間によって変わってきます。また、必要なナトリウムの量を計算するのは簡単ではありません。そして、塩分の摂り過ぎが健康に害を及ぼす場合があることも忘れてはいけません。大量の汗をかいた後の疲労回復であれば、食事や飲み物に少量の塩分を加えると良いでしょう。喉の渇きが刺激され、また摂取した水分の働きも促してくれるからです」

水を飲みすぎても大丈夫?

 さあ、これで飲むべき水の量の目安、そして、なぜそれが重要なのかをだいたい理解できたでしょうか。ところで、もし水を飲み過ぎた場合、どうなってしまうのでしょうか?それは飲んだ量によるとしか言えません。

 特に初心者のマラソンランナーの場合、水分補給の重要性を意識するあまり、ついつい水を飲み過ぎてしまうことがあります。体重の減少分より大量の水分を補給することで、マラソン中にかえって体重が増加してしまう場合もあるのです。そうするとゴールまで走り切るのがちょっと難しくなってしまうかも知れませんが、それは大した問題ではありません。

 問題は、過剰な水分補給が命取りになりかねない場合です。

「水を飲み過ぎることで、低ナトリウム血症が引き起こされてしまうことがあります。過剰な水分により体内の電解質であるナトリウムの濃度が低下し、場合によっては重篤な病状が引き起こされ、さらには死に至る可能性もあるほどです」と、ヒル博士は警鐘を鳴らします。

 これは「水中毒」「多飲症」とも言われるものですが、一体どうすれば過剰であることに気づけるのでしょうか?

 身体の声に耳を傾けるか、もしくは運動の前後の体重を比較することで水分の減少をモニターするという方法もあります。いずれにせよ、毎日グラス6~8杯分の水分を飲んでさえいれば、万が一の場合であってもそれほど深刻な状況に陥らずに済むとのことです。

Source / Men’s Health UK
Translation / Kazuki Kimura
※この翻訳は抄訳です。

Text by Daniel Davies and Hikaru Sato

「1日に飲むべき水の量」はどれくらい?普段と運動前・中・後の目安を専門家が解説