脱水症状の兆候と、その症状について

 脱水状態か否かを尿の色分けチャートで判断するのは、ちょっと抵抗が……という人もいるでしょう。ということで、それ以外にも脱水症状の兆候を見極める方法をご紹介します。以下の症状を感じたら、水分補給が足りていないのではないかと疑うようにしましょう。

・喉が渇く
・めまいや頭痛がする
・疲れやすい
・口の中、唇、目などが乾いている
・トイレの回数が少ない(排尿が1日4回以下の場合)

 他にもさまざまな症状があるほか、場合によっては完全に無症状のまま脱水状態になってしまうこともあるのが恐ろしいところです。上記はあくまでも判断材料に過ぎませんが、身に覚えがある人は水分補給を心がけるべきでしょう。

水分の不足は、どのような危険を招くのか

 錆(さ)びたような色の尿が出たら要注意、脱水症状を疑うべきです。が、そのとき、はたしてどんなリスクをともなっているでしょうか? 

 脱水症状に陥ることで、健康を損ねた場合における重症化の可能性を高めてしまう傾向があります。「脱水状態にある場合、熱疲労や熱中症のリスクが高まります」と、ヒル博士も指摘しています。

水分補給と運動の関係性

 水分補給を意識することは常に重要ですが、運動する場合には特に気をつけなければなりません。「脱水症状がパフォーマンスに及ぼす影響(Dehydration and Its Effects on Performance)」という研究によれば、「体重の5%相当の脱水により、身体能力が30%ほど低下する」という調査結果が数値として出ています。

 運動によっては1時間で1/2リットルから2リットルほどの水分を失うことになるのですから、その分の水分を補給しなければ身体がどうなってしまうか、その影響の大きさをよく自覚しておく必要があるでしょう。

 先週は余裕だった筋トレメニューのレップ数が今週はキツイ?スプリントでなかなかトップスピードに乗れない?もしかしたら、水分が足りていないためかも知れません。

「脱水症状に陥った身体はクールダウンが難しくなり、つまり運動による熱負荷に対応できなくなってしまうのです。アスリートや兵士など、体格の優れた人々が脱水症状で死亡してしまうという事例は少なくありません」と、ヒル博士は注意を促します。

 脱水状態による身体的な症状が無い場合でも、脱水による精神的な影響が生じる可能性があるのです。

「水分補給を怠ったことで判断力が低下する場合もある」と、ヒル博士は指摘します。「脱水状態でボールを置く位置が定まらなかったがために、ワールドカップの決勝戦でPKを外してしまった……そんな状況を想像してみてください」と、彼女は言います。それくらい、水分補給というのは大切ということです。