中国の「偽装日本ブランド店」が処理水問題で看板すり替え!変な日本語が残る店も…北京で回転ずしを食べる人々 Photo:Lonely Planet/gettyimages

久しぶりに中国へ
処理水問題で懸念も、意外な反応

 コロナ禍以来、初めて中国出張に旅立った。陝西省の延安市とその管轄下にある安塞区、黄河の滝が見られる壺口がある宜川県、西安市、西安市と咸陽市の間に設けられた西咸新区、湖北省武漢市、浙江省杭州市、そして上海市を回る2週間以上の長い出張であった。

 コロナ禍前の2019年までは、年間20回近く海外出張に行っていた私にとっては、3年8カ月ぶりの中国出張で、少し緊張していた。

 緊張の理由はいくつかあるが、一つは東京電力福島第一原発の処理水(中国では「核汚染処理水」と呼ばれている)の海洋放出により、中国側の抗議と不満が高まったことだ。その不満を日本に居住する中国人の私にまでぶつけてくる恐れがあると思って、日本を出る前から、ある程度トラブルに巻き込まれる覚悟をした。

 しかし、2週間以上にも及んだ出張だったのに、処理水の海洋放出の背景事情を尋ねられたのは、2~3回にとどまった。トラブルに巻き込まれることは1度もなかった。それどころか、日本からやってきた私に配慮して、逆に中国国内のすし店での食事に招待したり、ディナーのメニューには刺し身を入れたりしてくれた。おかげで中国の回転ずしの味とスタイルを楽しむことができた。

  報道で見聞きした処理水に抗議する中国の姿とは、全く違う風景がそこにあった。