2016年の発売以降、今でも多くの人に読まれ続けている『ありがとうの奇跡』。本書は、小林正観さんの40年間に及ぶ研究のなかで、いちばん伝えたかったことをまとめた「ベスト・メッセージ集」だ。あらゆる悩みを解決する「ありがとう」の秘訣が1冊にまとめられていて、読者からの大きな反響を呼んでいる。この連載では、本書のエッセンスの一部をお伝えしていく。

ありがとうの奇跡Photo: Adobe Stock

どんなに褒められても「有頂天にならない」、どんなにけなされても「落ち込まない」

「ニコニコできないのですが、どうしたらいいですか?」とか、「イライラしたくないけれどイライラします。どうしたらいいですか?」という質問をよく受けます。

 でも、イライラしてしまうのも、ニコニコできないのも、「誰かのせいではなく、自分のせい」です。

 だとすれば、「他人にはどうしようもありませんね」というのが、私の答えです。結局は、「自分が自分を律する」しかありません。

「強靭な精神力」を持つには、「感じない自分」をつくることです。

「孫子の兵法」に、「百戦百勝は、最善なるものにあらず」という教えがあります。

 この教えは、「百回戦争してすべて勝つ武将が優秀なのではない。一度も戦わない武将、戦わずして勝つ武将、敵をつくらない武将こそが優秀である」ことを示しています。

 傷つきたくなくてガードをしている人は、本当は弱い人なのかもしれません。

 バカにされても傷つかない人が、いちばん強い。メンツ、プライドを傷つけられても、笑っていられるのが強い人であり、そのためには今の状況を受け入れて(感謝して)、「一喜一憂しない自分」になればいいのです。

 ある方から、「コンピューターによる人格判断をさせてほしい」とお願いされたことがあります。電極を貼って数値を計測したところ、私の「心の開きかた」「外界に対する反応」は、うつ状態にある人と同じであることがわかったそうです。

 一方で、「気の流れ」を調べてみると、うつ状態の人の数値が「5~10」であるのに対して、私は「95」もあったのです。

 その技師の方は、今までに3000人ほど見てきたそうですが、このようなパターンは、はじめてだったそうです。私はこの方に、次のように言われました。

「うつ状態の人のように心を閉ざしていて、環境や状況に対する反応は乏しい。それなのに、『気の流れ』は『95』という高い数値が出ている。この結果をひと言であらわすなら、『明るいうつ状態』です」と。

「自分がどう生きるか」だけを考えてきた私にとって、この検査結果は腑に落ちるものでした。

 私は、どんな現象が起きても、舞い上がることも落ち込むこともなく、受け入れて(感謝して)きたからです。

 はじめて私の講演会に来てくださった方の中で、「すばらしいお話で感動しました。これから私は、小林さんを師と仰いで生きていこうと思います」と言ってくださった方が、当時、5人いました。

 しかし、その5人の方たちは、その後、二度と私の講演会に参加したことはありませんでした。

 反対に、講演終了後に、「そんなバカな話があるか」と反発した方が、当時、50人ほどおられました。しかし、その方たちは、その後も私の講演会に来てくださり、今では講演会の主催者になってくださっています。

 そのような経験を通して学んだことは、どんなに褒められても「有頂天にならない」こと。そして、どんなにけなされても「落ち込まない」ことです。

 私は「明るいうつ状態」である自分がとても好きです。安っぽいダジャレを言って、誰も笑わなくても、べつに落ち込みません。

 反対に、みんなが笑ってくれたからといって、機嫌をよくするわけでもない。完全に自分の世界だけで完結しながら生きています。だから、とても「ラク」なのです。