例えば、「有名パティシエ絶賛」と話題のスイーツが思っていたほどおいしくなかったり、「はくだけで痩せる」と話題のアイテムで効果を感じられなかったりした時などにも、人は裏切られたと感じます。

 実は、この裏切られたと感じた経験は、次に同じ行動を起こす時にブレーキになりやすいのです。

 1つ、実際にあった相談事例をご紹介します。

【 実際の相談事例 】
 辛い時や悲しい時に、話を聞いてもらえるような親友がいないんです。
 気を使わずに一緒にいられるような人もいません。
 今まではそれでもいいかと思っていたんですけど……なんだか私、誰かと仲良くなりたいという気持ちと、仲良くなるのが怖いという2つの気持ちがあるみたいなんです。
 このことを親に話したら、仲良くなりたいなら仲良くなればいいじゃない! って言われちゃって。
 ホントその通りだと思うんですけど、やっぱり親しくなるのが怖いという気持ちが消えないんです。
 自分でもよく分からないんですけど、こんなのおかしいですよね……。

 このようなケースの場合、実際に誰かから傷つけられた経験が、親しくなることへのブレーキとなることがあります。

 例えば、仲が良い人から傷つけられた場合は親しくなることへの警戒に、見知らぬ人から傷つけられた場合は初対面の人への警戒につながりやすいです。

 ですがMさんの場合は、大人になって誰かから裏切られたり、傷つけられたりという経験はありませんでした。

今も思い出すと
苦しい経験

 そこで過去に「仲の良い友達から傷つけられた経験はありませんでしたか?」とうかがったところ、
「実は、小学生の頃の遠足で傷ついたことが、今も忘れられないんです。いじめとかそういうことではないですし、大したことじゃないんですけど……それにそんな何十年も前のこと、もう関係ないですよね」
 と苦笑いしながら、当時のことを話してくれました。

 Mさんは遠足の日、親友と一緒にお弁当を食べる約束をしていました。
 ですが遠足当日、親友は別のグループとお弁当を食べており、Mさんはどうしていいか分からず、ひとりで公園の隅に立っていました。
 それに気づいた担任の先生が「誰か一緒に食べてあげて」と声をかけてくれたものの、誰も誘ってくれず、結局担任と二人でお弁当を食べることになったのです。

 親友だと思っていた人から突然裏切られたショック、先生が声をかけたのに誰からも誘ってもらえなかったという悲しさや恥ずかしさ、担任と二人でお弁当を食べている時に聞こえたみんなの楽しそうな笑い声……
 今もふと思い出して苦しくなってしまうほど、Mさんにとって屈辱的なできごとでした。