あなたがおかしい
わけではない
Mさんの場合は、この小学生の頃のショックなできごとがきっかけとなり、「人を信じすぎないほうがいい」「仲良くなりすぎないほうがいい」「人は裏切る」という思いを強くしていきました。
大人になった今のMさんにとっては大したことではないのだとしても、子どもの頃のMさんにとっては一大事。
親友と呼んでいた人から突然裏切られた経験が、深く心を傷つけ、「世の中の人は信じないほうがいい。仲良くなりすぎないほうがいい。いずれ自分を裏切る」という思い込みのきっかけになることは珍しくありません。
学校という場所は、子どもにとって小さな社会だからです。
このように、過去の辛い経験が引き金となって、目の前の人に警戒心が芽生えることがあります。
ですが、Mさんのように何が行動のブレーキとなっているのかを知ることができれば、目の前の人に対する警戒心はだんだんと薄れていきます。
恐怖を感じているのは過去の経験によるものであって、目の前の人が怖いわけではない、という事実に気づくことができるからです。
「他人を信じられない自分はおかしいのではないか」と思い悩む人は多いですが、生まれながらに他人をまったく信じられないという人はいません。
つまり、あなたの何かがおかしいのではなく、他人を信じられなくなるようなできごとが過去にあったはずなのです。
なぜだか分からないけれど、誰かに対して不安や恐怖を感じてしまう時には、過去にそのような気持ちになったことがないか探してみてくださいね。
不安や恐怖のきっかけが分かるだけで、今感じている気持ちはだんだんと薄れていきますよ。
精神科クリニックに併設のカウンセリングルームで10年以上、心理カウンセラーとして勤務した後、独立。現在は人間関係、親子問題、機能不全家族専門カウンセラーとしてメールでのカウンセリングを中心に活動。メールでのカウンセリング、対面カウンセリングともにいつも予約がいっぱいで、現在も数か月待ちの超人気カウンセラー。
著書に『あなたはもう、自分のために生きていい』(ダイヤモンド社)などがある。最新刊は『悪いのは、あなたじゃない』(ダイヤモンド社)。X(旧Twitter)@Poche77085714
※本稿は、Poche著『悪いのは、あなたじゃない』(ダイヤモンド社)から再構成したものです。